2025.06.16大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)tags: BYD, EVバス, バス, 富士急バス, 山梨交通, 路線バス地球温暖化対策の一環として、路線バスに電気自動車(EV)バスを導入する動きが広がっています。地方路線などへの導入も進むことが見込まれる中で、小型化のニーズに応えた「新商品」の登場が相次いでいます。 地球温暖化対策が急務となる中、日本政府は2030年度までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを13年度比で46%削減することを目指しています。対策の一環として、バス会社は走行中にCO2を排出しない電気自動車(EV)バスや、水素を燃料として走行中に水しか排出しない燃料電池バスの導入を進めています。拡大画像山梨交通の敷島営業所(山梨県甲斐市)に停車中の大型EVバス「e-City L10」(大塚圭一郎撮影)。 バス運行会社で構成される日本バス協会は、2030年までに業界内で累計1万台のEVバスを導入する目標を掲げています。車両価格が通常のディーゼルエンジンのバスより高額なため、国や自治体もバス会社の車両購入や充電インフラに対して補助金を交付し、導入を後押ししています。 とはいえ、これまでにEVバスを導入してきたのは主に都市圏のバス事業者です。今後は利用者が限られる地方路線や、道路幅が狭い地域での普及も見込まれており、メーカーはこうした小型化のニーズに応える「新商品」を相次いで売り出しています。 電気バスの日本市場において販売シェア首位を誇る中国の比亜迪(BYD)は、日本市場向けに専用設計した中型EVバス「J7」の納車を2025年に開始します。車体は長さ8.99m、幅が2.3mで、高齢者や車いす利用者らも乗降しやすいよう、段差のないフルフラットの床を採用しています。乗車定員は61人です。走行用モーターの動力源となるリチウムイオン電池は、車体の天井部分と後部に搭載されています。 充電方式は、日本で普及している急速充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」を採用しており、1回の充電で約250kmの走行が可能です。希望小売価格は3650万円(税別)です。 BYDは大型の「K8」、小型の「J6」に中型の「J7」を加えたことで、「路線向けEVバスのフルラインナップがそろい、日本市場の多様なニーズに対応する体制が整った」と自信を示しています。【次ページ】地方のバス会社向けに開発を依頼【写真】これが「BYD以外」の中国製EVバスです(写真)