朝日新聞連載フォーラム記事有料記事聞き手 編集委員・山下知子2025年6月12日 6時30分濵田真里さんのコメントトイレ案内図を元に便器数の男女比を調べる百瀬まなみさん=東京都渋谷区 今年、公共空間の男女の便器数とトイレの行列について報じたところ、多くの反響をいただきました。トイレの数から、日本社会の何が見えるのか。公共トイレの男女別便器数を調べている百瀬まなみさんに朝日新聞のアンケートに寄せられた声を読んでもらい、話を聞きました。アンケートに寄せられた声から 朝日新聞のアンケートには1705件もの回答が寄せられ、その9割近くが女性からでした。結果はhttps://www.asahi.com/opinion/forum/222/で読むことができます。 ●血の気が引く トイレに行く時にはもうすでに尿意切迫していることが多いので、行列が出来ていると血の気が引きます。男性トイレは並んでないことが多いので、いつもうらやましく思います。(神奈川、女性、20代) ●男性用はスイスイ 駅のトイレでは女性用の前にだけいつも行列です。並んでいる間に男性用はスイスイ入ってスイスイ出て行っています。この差はなんなのでしょうか。いつも悲しくなります。(広島、女性、50代) ●男女差に考え及ばず 自身の母、妻の経験として女性用トイレはいつも混んでいる印象はあったが、男女の便器数に差があるなど考えが及ばなかった。(兵庫、男性、40代) ●「大変だ」で済ませず サッカー場へ行くといつも女性用トイレにばかり行列ができている。来場者の男女比では明らかに男性の方が多いのに、である。これまでは「女性は大変だ」と思っていただけだったが、「大変だ」で済ませてはいけない問題だと思うようになった。(京都、男性、40代) ●持病あり心配 持病の関係でトイレが近いため出かける度に「トイレは空いてるかな」と心配したり、場所によっては行くことを諦めたりすることがあって何度も悔しい思いをした。(千葉、女性、30代) ●尿失禁の恐れも 設置者側は「面積が同じなら平等」として「排泄(はいせつ)一連行為に要す時間(女性が待ち並ぶ状態)までは考えていない」のだと感じる。利用者側も「仕方ない」と諦めてきた感がある。しかしそれを当然とせず、改良してほしい。中高年女性は切迫性尿失禁も増え、完全に漏れてしまうケースも考えられる。そういう人はオムツをはけばいい、との意見もあるだろうが冷たすぎると思う。(東京、女性、50代) ●女性として不愉快 どこに出かけても女性の方に長蛇の列ができます。男性側にも「女性は面倒」「かわいそう」という負の面が露出され、女性として不愉快に感じます。(埼玉、女性、50代) ●女性への偏見も 男性が多い業界では、いまだに男性トイレしかない場所も多いようで、経済格差にもつながっている根深い問題です。また女性トイレの問題について話題になっても、「女性は化粧やスマホのせいでトイレが長引く」といううわさが真実のように語られていて、ジェンダーに対する偏見を感じます。(大阪、30代) ●日本は後進国か 一時期までは女性トイレの行列は仕方がないことだと思っていました。ところが海外旅行をしたときに、トイレ行列の男女差がないことに気付きました。さらに、諸外国では建築設計の段階で女性用の便器数を男性用より多くする合理的な数値基準があることを知りました。日本は後進国なのかと悲しくなりました。(東京、女性、30代) ●女性に優しい施設に 数が同じでない理由が分かりません。最低でも同数、時間のかかる女性の便器数を多く設定するのが合理的だと考えます。男女のそれぞれの便器の数を数えることが出来ないので、その発想になりませんでしたが、今までなぜ男性便器の数が多かったのか、不思議でなりません。多くの施設で再度検討して、リニューアルの際は女性に優しい対応をして頂けることを期待しています。(東京、男性、50代) ●解決できる問題と気づいた 子供の時から存在していて「当たり前」と思ってたことが今になって可視化されて、解決出来るのだと気づきました。黙って不便を受け入れるのではなく、考えて声を上げることの大切さを感じています。(大阪、50代)文句は聞こえるように言え! 百瀬まなみさん 公共空間のトイレの男女別便器数を調べている百瀬まなみさんは今回のアンケートの回答に目を通し、「同じ問題意識を持っている人たちの声に励まされた」と語りました。トイレから何が見えるのか、改めて話を聞きました。 ◇ 調査したトイレは6月1日で…この記事を書いた人山下知子編集委員|週刊アップデート編集長専門・関心分野教育、ジェンダー、セクシュアリティ、歴史関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ6月12日 (木)冤罪事件、警察側が上告断念公文書改ざん 指示メモも開示全国民に2万円 自公給付案6月11日 (水)自公 物価高対策の給付で合意梅雨の夜「蒸発現象」に注意備蓄米、20万トン追加放出へ6月10日 (火)移民摘発抗議に州兵を派遣元横綱白鵬が退職会見「仮装身分捜査」で初摘発6月9日 (月)ドーピング容認大会に賛否減り続ける町の銭湯沖縄「最早」タイの梅雨明けトップニューストップページへ中国空母艦載機が海自哨戒機に異常接近 「偶発的な衝突」誘発の危機0:11山尾氏公認見送り、右往左往の国民民主 執行部の意思決定に疑問の声22:40森友文書開示から浮かぶ改ざんの実態 検察や検査院に取り繕う財務省21:15マスク氏、トランプ氏批判めぐり「後悔している。行き過ぎだった」2:46ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンさんが82歳で死去2:15大川原化工機側の否定、掲載せず 冤罪事件めぐる朝日新聞報道を検証21:30