有料記事矢島大輔 吉田啓2025年6月12日 11時00分岩国基地の滑走路に垂直着陸する米海兵隊のF35B戦闘機=2020年5月13日、山口県岩国市、具志堅直撮影 航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県新富町)に配備予定の戦闘機F35Bを巡り、地元の反発が強まっている。これまで「新田原ではしない」と説明されてきた訓練の実施方針が伝えられ、中谷元防衛相が謝罪する事態に。何が起きているのか――。 今年4月、新富町の区長を集めた九州防衛局の説明会で区長の1人、高正静夫さん(76)は防衛省の説明に耳を疑った。今年度中に8機が配備されるF35Bについて、垂直着陸訓練の実施が盛り込まれていたからだ。 防衛省の説明によると、F35Bの垂直着陸は着地地点から約2キロ手前、高度100メートルの位置から降り立ち、所要時間は滑走路上でのホバリングを含めて約2分。通常着陸の約24秒に比べて5倍の長さだ。さらに通常着陸の騒音値は、パチンコ店内に例えられる最大92デシベル程度に対し、垂直着陸は最大130デシベルが推定される。新田原基地の地図 いま配備されているF15の訓練でも、繰り返される轟音(ごうおん)にテレビの音声は遮られ、電話の会話は中断を強いられる。そう基地周辺の住民が訴えた騒音被害は、2024年夏に福岡高裁宮崎支部が一審に続いて国に賠償を命じ、確定した。 新富町に生まれ育ち、基地から約2キロの地区に住む高正さんも「今でも耐え難く、特に夜間訓練には心を乱される。さらに2分間も続く爆音に耐えろというのか。私たちは穏やかな暮らしを望んでいるのに」と憤る。「など」に訓練が含まれる? 住民らが垂直着陸訓練を拒むのは騒音だけが理由ではない。大きな要因が、F35B配備をめぐる防衛省の説明の変遷だ。 21年7月、防衛省が住民に…こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ6月12日 (木)冤罪事件、警察側が上告断念公文書改ざん 指示メモも開示全国民に2万円 自公給付案6月11日 (水)自公 物価高対策の給付で合意梅雨の夜「蒸発現象」に注意備蓄米、20万トン追加放出へ6月10日 (火)移民摘発抗議に州兵を派遣元横綱白鵬が退職会見「仮装身分捜査」で初摘発6月9日 (月)ドーピング容認大会に賛否減り続ける町の銭湯沖縄「最早」タイの梅雨明けトップニューストップページへ米、相互関税の90日期限延長か 「誠意ある交渉」条件、日本も影響9:30爆音2分続く戦闘機訓練、やらないはずが一転 防衛省の説明変遷11:00性教育で中学生たちは変わった 「知らない方がもっと恥ずかしい」10:00「なぜ議員ではなく市民を?」 傍聴席に防犯カメラ、議員席には死角7:30違和感あった「被災地の歌姫」 新人賞の曲を封印して活動再開のわけ10:00知床で消えた「黒い川」 世界自然遺産の象徴「カラフトマス」が激減9:00