AI時代におけるソフトウェアクラフトマンシップの重要性

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超高速テキストエディタZedの開発者として知られるNathan Sobo氏は6月12日、「The Case for Software Craftsmanship in the Era of Vibes」と題したブログ記事を公開し、コード生成が容易になった今こそソフトウェアの品質を高めることが重要だと指摘しています。AIを活用しながらも、信頼性の高い、変更しやすく、使いやすいソフトウェアを作ることこそが、開発者の価値を決めるとの主張です。同氏は、ソフトウェアの質を高める必要性を説き、AIの登場によりコード生成容易になった今こそ、コードの品質を高めるべきだと主張しています。重要なのは「どれだけのコードを書いたか」ではなく、「どれだけ良いシステムを構築したか」で、「10xエンジニア」のようなスピード重視の視点ではなく、職人としての視点 でAIを活用することが重要だと強調しています。AIツールが登場したことで、悪い設計の影響がより顕著になるため、より慎重な設計が求められるようになるとし、「短期的な利益を追求することで、長期的な生産性が低下する」ことに対して警鐘を鳴らしています。ユーザー体験のためには、パフォーマンスの最適化が重要で、Zedエディタの開発において「120fpsで動作する快適なエディタを作る」という目標を掲げたことを例示しています。AIを単なるコード生成ツールとしてではなく、「開発を加速するパートナー」 として活用することを提案し、「人間の職人技とAIツールを組み合わせることで、より良いソフトウェアを構築できる」という考え方を提唱しています。同氏は最後に「Agentic Engineering」という新たな概念を紹介し、AIを活用しながらソフトウェア開発を進めるオンラインイベントの開催を告知。今後も専門家を招き、AIとソフトウェア開発の関係を深く探求していく予定だとまとめています。Hacker Newsでもこの記事に関する議論が行われており、特に近年、AIや自動コード生成ツールの普及に伴い、コードの質よりも量が増えている点に懸念が示されています。AIによるコード生成が容易になることで、質の高いソフトウェアが生まれる可能性はあるものの、大量の低品質なコードが発生していて、これはスマートフォンアプリ市場で多くの粗悪なアプリが氾濫した現象と類似しているとの指摘も行われています。また、一般消費者は品質よりも「使えるかどうか」に関心があり、技術的な完成度や設計の美しさを求める割合は少なく、クラフトマンシップにこだわる開発者が報われにくい環境があるとの指摘も行われています。