特派員の目:インフレなぜ不発? トランプ関税支える企業努力=大久保渉(ワシントン)

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特派員の目毎日新聞 2025/6/18 10:00(最終更新 6/18 10:00) 937文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷自動車販売店に並ぶ日本メーカーなどの車=米東部メリーランド州で2025年6月9日、大久保渉撮影 「消費者からすれば、どんな理由であれ値上げは望ましくない。できれば秋まで、企業努力でしのぎたい」。トランプ関税の嵐が吹き荒れる米ワシントンで5月中旬、「いつ値上げするのか?」と尋ねる私に、大手自動車メーカー幹部はこう答えた。トランプ政権は6月上旬時点で、日本など全ての貿易相手国に対する10%の「相互関税」や25%の自動車関税、50%の鉄鋼関税などを発動中だが、この関税コストを自社で負担し、値上げを極力避ける考えを示したのだ。 トランプ政権の関税引き上げは、米国で物価上昇(インフレ)を再燃させると多くの経済学者が指摘してきた。だが、トランプ大統領が「米国解放日」と名付けた4月2日の大規模関税発表から2カ月以上たっても目立ったインフレは起きていない。Advertisement 最大の理由が、客離れを防ぐための企業の価格据え置き戦略だ。例えば400万円の自動車を輸入した場合の25%関税は100万円。そのまま小売価格に転嫁すれば、販売価格が従来の400万円から500万円に跳ね上がり、今まで自社ブランドを買ってくれていた優良な顧客に逃げられてしまう。 このため、多くの企業は、関税を米国販売に必要なコストとして自社で吸収している。赤沢亮正経済再生担当相は「自動車メーカーのトップに聞くと、1時間に100万ドルずつ損をしている状況だ」と強調。トランプ関税は米国で事業展開する海外企業への強烈な打撃となっているのだ。 打撃を受けるのは、海外企業だけではない。関税コストの価格転嫁を計画した米小売り大手ウォルマートに対し、トランプ氏は「顧客に請求すべきではない」と自らの交流サイト(SNS)に、脅迫じみた投稿をした。多くの米小売企業は関税コストを支払って中国などから低価格商品を仕入れており、値上げを我慢し続ければ業績が激しく悪化する。 2024年11月の大統領選で、トランプ氏はバイデン前政権下のインフレを批判して勝利した。もし関税コストを各社が価格転嫁すればトランプ氏は有権者から突き上げを食らい、関税を撤回せざるを得なくなるだろう。企業が損失覚悟で価格を据え置くのは、本来、消費者にとって好ましいことだ。だが、その企業努力が不合理なトランプ関税を存続させているのかと思うと、複雑な気持ちになる。【前の記事】試練に耐える「ダイヤモンドの街」=松本紫帆(ニューデリー)関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>