映画の推し事毎日新聞 2025/6/4 22:00(最終更新 6/4 22:00) 2011文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷「リロ&スティッチ」©2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved. ディズニー・スタジオのお家芸の一つとなった、自社のアニメ作品の実写映画化プロジェクト。これまでに「美女と野獣」「アラジン」等をヒットさせてきたが、その最新作「リロ&スティッチ」が6月6日に日本で公開される。 米国では「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」と同日の5月23日に封切られ、戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー)の週末興収としては史上最高の数字(1億8700万ドル)を記録。5月28日時点での世界興収は既に年間4位となる3億6100万ドルに到達している(Box Office Mojo調べ)。Advertisement 「リロ&スティッチ」のオリジナル版は、ハワイを舞台に、孤独なエイリアンと少女が家族(オハナ)になる過程を描いた2002年製作のアニメーション映画。本作もベースは原作準拠だが、随所に実写版ならではの改変やテーマの掘り下げが見られる。本稿では決定的なネタバレを避けつつ、実写版の独自性について分析する。【ひとシネマ】「リロ&スティッチ」©2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.危険な実験体と孤独な少女の出会い まずは基本情報のおさらい。スティッチは科学者のジャンバが違法な遺伝子実験により生み出した実験体。破壊本能をインプットされており、危険視した銀河連邦によって拘束されるも脱出。逃亡中に地球に不時着し、両親を亡くして同級生からもつまはじきにされる6歳の少女リロと出会う。 そのリロは18歳の姉ナニとふたり暮らし。働きながら妹の面倒をみようとするがキャパ超え気味で生活がなかなか立ち行かず、児童福祉局が介入。状況が改善されなければ引き取られる――というタイミングでスティッチが家に転がり込んでくる。 ひょっとすると暴れん坊のスティッチが騒動を繰り広げるドタバタ劇の印象が強いかもしれないが、「リロ&スティッチ」が扱う題材やシチュエーションは実はなかなかにシビア。「リロ&スティッチ」©2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.より現実的で細やかな設定に 実写版ではキャラクターの設定を変更したり加筆したりしながら、若者ケアラーであるナニをフックに「家族の愛と呪い」について踏み込んだ描写がなされていく。 ナニに「海洋生物学を専攻する夢を持っていたが、大学の推薦入学を辞退して地元で働くことを決める」という背景が追加され、連動してリロにおいても「姉に申し訳なさを感じているが子どものためどうしようもなく、孤独感が募る」といった心情描写が行われる。「リロ&スティッチ」アニメ版理解者がいればやり直せる さらに、社会福祉士のケコアや面倒見のいい隣人トゥトゥといった新キャラクターも加わり、より現実的かつ細やかなケアがなされている。 例えば、リロが引き取られるのを回避するための条件として「家の掃除を行うこと」「請求書を完済すること」「医療保険に入ること」を課すなど、ケコアがリロだけでなくナニの心身における負担を減らそうと心を砕き、「今生の別れにはならない」と偏見を解消しようと努めるシーンも登場。リアリティーを重視した当事者の痛み、さらには共助・公助が描かれていくのだ。 この軸は、スティッチのキャラクター像にも大きく影響している。実験体として生み出されたため家族がおらず、愛情も知らないスティッチが、プログラムされた破壊衝動を制御しようとリロと共に奮闘するシーンなどが段階的に挿入され、「あなたは悪い子じゃない。時々悪いことをしちゃうだけ」「家族だっていつも完璧じゃない。それでいいの」といったセリフが追随し、境遇がどうであれ、理解者がそばにいればやり直せるといったメッセージが強調されている。「リロ&スティッチ」アニメ版「保護者の責任」の表と裏 そのうえで、リロの親代わりであるナニと、スティッチを生み出したジャンバが「保護者の責任」というテーマで鏡構造になっているのも興味深い。ナニは自己犠牲を発揮しすぎてしまう苦労人だが、その奥にはリロへの依存心がある。両親が残した「家族はいつもそばにいる」との教えが呪いとなってしまっているのだ。 そしてジャンバは「執着こそが愛情」と主張し、スティッチを支配下に置こうとする。アニメ版ではジャンバは終盤で改心するが、実写版では「毒親」として一貫性をもたされており、ナニが行き過ぎた姿にも見えてくるのが巧妙だ。【ひとシネマ】「リロ&スティッチ」©2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.心が近くにいれば ディズニー実写版の特徴のひとつは現代的なアップデートであり、内省的な要素も含まれている(「アラジン」でジャスミンが歌う「スピーチレス」などが好例)。 「リロ&スティッチ」においては、オハナ(家族)を再定義し直しているのがポイント。「家族はいつもそばにいる」は物理的な近さではなく心の距離であり、他者とも家族になれる――という解釈は、混迷が加速した現代において、より切実に響くのではないか。 映画会社A24が北米配給を手掛け、アニー賞を受賞し米アカデミー賞にもノミネートされた異種間の絆のドラマ「マルセル 靴をはいた小さな貝」のディーン・フライシャー・キャンプ監督の起用が、見事にハマったといえるだろう。(SYO)【時系列で見る】関連記事<考察>劇場版「名探偵コナン」大ヒットのトリック 原作と共犯「コア寄せ」4/25 22:00物語も最高難度!?「ミッション:インポッシブル」新作をわかりやすく解説5/24 11:10あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>