2025.07.04布留川 司(ルポライター・カメラマン)tags: HIMARS(高機動ロケット砲システム), フランス軍, ミサイル・砲, ミリタリーロシアによるウクライナ侵攻で、注目を集めたアメリカ製兵器HIMARSのそっくりさんがフランスで行われたパリエアショーに新兵器として展示されていました。ただ、これは単なる「二番煎じ」というワケではなさそうです。 フランスの防衛関連企業 テュルジ&ガイヤール(Turgis & Gaillard)社は、2025年6月下旬にパリ郊外のル・ブルジェ空港で開催された「パリ国際航空宇宙ショー(パリエアショー)」において、新型の多連装ロケット砲システム「フードル」を展示しました。拡大画像2016年、ポーランドで行われたNATO演習でロケット弾を発射したアメリカ陸軍のHIMARS(画像:アメリカ陸軍)。 その見た目は、アメリカが開発したトラック型の自走多連装ロケットシステム「HIMARS」にそっくりです。HIMARSは、ロシアのウクライナ侵攻でアメリカがウクライナに多数供与し、その機動性と火力の高さから注目を集めています。 こうした戦果を見て、フランスも似たような兵器を作ったのでしょうか。調べてみたら、それ以外の理由も判明しました。 フランス陸軍は従来、陸上自衛隊も購入したアメリカ製の対連装ロケットシステムMLRSをライセンス生産し、「LRU」の名で運用しています。 前出の「フードル」は、このLRUの代替として開発されたもので、名称はフランス語で稲妻という意味を持つ「Foudre」が由来です。 ルノー製の6WD軍用トラックをベースに、可動式の6連装ランチャーを組み合わせています。ランチャー内部には収縮式のクレーンが収納されており、ロケット弾を車両単独で再装填することもできます。 キャビンは装甲化されているため、防弾・耐爆機能だけでなくCBRN(化学・生物・放射性物質・核 )に対しても一定の防護機能を持っています。 なお、軽量なトラック車両をベースにしたため、道路での素早い移動や、舗装されていな悪路でも走行することができます。また、軍用輸送機のC-130「ハーキュリーズ」やA400M「アトラス」による空輸も可能であり、運用面でも機動性の高い兵器といえるでしょう。【次ページ】似たような兵器をわざわざ国産化する意義は?【欧州車っぽい?】フランス製「フードル」ロケット弾発射機をイッキ見(写真)