有料記事真常法彦2025年6月20日 12時00分「Thank―you Letter Project」で配布しているレターセット。渡辺勇さんからのメッセージが添えられている 大切な人に感謝の手紙を書こう。そんな活動を始めた男性が滋賀県にいる。「ありがとう」を伝えることの大切さを教えてくれた妹は、もういない。6年前の夏、突然で理不尽な別れだった。 「Thank―you Letter Project」を立ち上げたのは渡辺勇さん(46)。家族や恋人、友人、恩師ら大切な人に感謝の手紙を書き、思いを伝える活動だ。 無料で配布するレターセットには、渡辺さんのメッセージが添えられている。「あの日、突然大切な家族の命を奪われました。もっと感謝を伝えたかった。もっと一緒に過ごしたかった。でも、それはもう叶(かな)いません」 2019年7月18日。京都市伏見区の京都アニメーション第1スタジオに、恨みを抱いた男が侵入し、ガソリンをまいて火を付けた。スタジオは全焼し、社員ら36人が亡くなり、32人が重軽傷を負った。 渡辺さんの妹、美希子さん(当時35)も犠牲となった。京アニの美術監督として、数々の作品に携わった。 心優しい妹だった。両親の家の近くに住む渡辺さんに、ある日、LINEでメッセージが届いた。妹は仕事の関係で県外に住んでいた。 「父さんや母さんの近くに兄さんがいてくれるから私は安心して仕事に集中できます。ありがとう」 妹にはもう会えない。もっと話をしておけばよかった。こちらこそありがとう、と伝えたかった。「今は後悔ばかりが残っています」 悲しい別れは、誰にも突然に訪れるかもしれない。自分のように後悔しないよう、感謝の思いを「いつか」ではなく、「今すぐ」伝えてほしい。そんな願いをプロジェクトに込めた。 思いを伝えるツールには、手紙を選んだ。着想をくれたのは、妹が背景画を手がけた人気アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。渡辺さんも大好きな作品で、手紙が物語の重要な要素になっている。 遺作となった劇場版の最終盤…この記事を書いた人真常法彦大津総局|滋賀県警担当専門・関心分野事件、事故、調査報道、人権問題京都アニメーション放火殺人事件2019年7月18日、京都市の京都アニメーション第1スタジオが放火され、36人が死亡しました。京都地裁は2024年、青葉真司被告に死刑判決を言い渡しました。関連ニュースをお伝えします。[もっと見る]こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ6月20日 (金)イラン攻撃「考えはある」山岳遭難が増加、中高年多く世界遺産の大山古墳で新発見6月19日 (木)G7サミット、首脳宣言見送りオンラインカジノ規制強化梅雨なのに猛暑、なぜ?6月18日 (水)日米関税交渉「合意至らず」フリーランス法違反で初勧告大谷翔平が二刀流復帰6月17日 (火)国民民主、野党首位明け渡す2万円給付案の根拠を説明コメ不足でも大量に廃棄トップニューストップページへイスラエルの攻撃でイラン291地点が被害 邦人が多い区域の近くも11:00TOKIO国分太一さんが番組降板 日テレ「問題行為を複数確認」12:04TikTokで「裏ワザ」称してマルウェア配布か 専門家が注意喚起11:00精米にこだわったけど「もう疲れた」 閉業したコメ店主が語った苦悩11:00増え続ける難民は「異なる危機の掛け算」 高等弁務官インタビュー11:30「私が世話をできなくなったら」 障害ある62歳の息子と92歳の母10:30