京都大が沖縄の遺骨移管 今帰仁村教委に 戦前に研究目的で収集

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八百板一平2025年6月20日 10時00分百按司墓=沖縄県今帰仁村、松島泰勝・龍谷大教授提供 京都帝国大学(現在の京都大学)の研究者が昭和初期に、沖縄県今帰仁(なきじん)村(そん)の墓地から収集した遺骨を、京都大が今年5月に村教育委員会に移管したことが、大学などへの取材でわかった。遺骨は少なくとも29体で、村教委は墓に戻さずに保管する方針だという。 遺骨は、16世紀以前の県北部の有力な首長やその一族らの墓とされる「百按司墓(むむじゃなばか)」に葬られていたもの。京都帝大の人類学者・金関丈夫(1897~1983)らが、1930年ごろに研究の対象として集めたとされ、京都大学総合博物館(京都市)に保管されていた。 京都大や今帰仁村歴史文化センターによると、遺骨は5月21日に箱に入った状態でセンターに届いたという。 この遺骨を巡っては、沖縄県出身者らが2018年に、京都大に対して遺骨の返還を求める訴えを京都地裁に起こした。地裁と二審の大阪高裁はいずれも、原告に返還請求権がないなどとして請求を棄却し、判決が確定した。 ただ、地裁判決(22年4月)は「関係機関を交え、解決に向けた環境整備が図られるべきだ」などと付言した。また、高裁判決(23年9月)も付言で、世界各地で遺骨の返還運動が広がり、返還された例もあると指摘。京都大や村教委らで「適切な解決の道を探ることが望まれる」などとしていた。 今帰仁村歴史文化センターの玉城靖館長によると、村教委と京都大は、高裁判決が確定した後の24年12月に協議書をかわした。協議書は、遺骨を「保存状態が良好で、重要な文化遺産」とした。移管の条件として、埋葬処理せず、学術資料として保管することが盛り込まれているという。 百按司墓は、村の文化財に指定されている。村教委は「人骨は遺跡を知る上で重要な資料だ」として、センターで保管する方針。訴訟の原告に限って骨をみてもらうという。 京都大は、朝日新聞の取材に文書で回答し、遺骨の移管を認めた。また、移管された遺骨は少なくとも29体だと明らかにした。一方で、移管は「大阪高裁の判決を受けて行われたものではない」と説明。ただ、協議の詳細な内容については「村教委との間における信頼関係、及び、今後の率直な意見の交換を不当に損ねるおそれがある」などとして、明らかにしていない。 遺骨返還訴訟の原告団長を務めた松島泰勝・龍谷大学教授(琉球先住民族論)は「遺骨が今帰仁村に戻ったことはうれしい。ただ、あくまで移管で、墓への返還には至っていない。研究対象や学術資料の人骨として扱うのではなく、遺骨として墓に戻すべきだ」と話している。こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ6月20日 (金)イラン攻撃「考えはある」山岳遭難が増加、中高年多く世界遺産の大山古墳で新発見6月19日 (木)G7サミット、首脳宣言見送りオンラインカジノ規制強化梅雨なのに猛暑、なぜ?6月18日 (水)日米関税交渉「合意至らず」フリーランス法違反で初勧告大谷翔平が二刀流復帰6月17日 (火)国民民主、野党首位明け渡す2万円給付案の根拠を説明コメ不足でも大量に廃棄トップニューストップページへ選択的夫婦別姓の実現を阻むもの 保守派だけではない「壁」の正体7:00野党7党提出のガソリン減税法案、立憲の委員長が職権で採決決定9:57好きな政党の情報、新しい政党ほど「動画で見る」 新聞テレビは後退8:00お昼寝での自慰を「叱らないで」 幼児の性教育、学ぶべきは大人8:00万博ユスリカに見る、都市と虫の環境史 瀬戸口明久・京都大教授寄稿10:00難民は困って訪れる「親戚」、追い返すのは情けない 池澤夏樹氏語る7:00