毎日新聞 2025/6/28 08:00(最終更新 6/28 08:00) 有料記事 2113文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷「言葉を通して人間を深く考えるため、文学作品を読んでほしい」と願う大橋毅彦さん=兵庫県西宮市の関西学院大で2025年3月14日、三角真理撮影 堀辰雄の「風立ちぬ」は、悲しい恋愛小説。でも、それで終わらない。関西学院大名誉教授の大橋毅彦さん(69)は登場人物たちの心情を追いながら「今読み直してほしい作品」と薦める。【三角真理】 こういう物語だ――。「私」は、婚約者の節子が胸を患って高原にあるサナトリウムに入ることになったため、同行して一緒に暮らし始める。献身的に尽くすものの節子は亡くなり、一人残された「私」は自分の人生を考える。 この作品の魅力について大橋さんは「『生きるとはどういうことか』を実感させてくれる」と話す。序盤に出てくる有名なフレーズ「風立ちぬ、いざ生きめやも」がカギだろう。フランスの詩人、ポール・ヴァレリーの詩の一節で、「風が吹いた。生きなければならない」といった意味。音もリズムもよく、力強い響きが耳に残る。大橋さんはこの言葉は「節子と『私』の決意表明のようなもの」とみる。 この作品のもう一つの魅力として「愛情を深めるとはどういうことかを教えてくれる」ことを挙げた。「私」は節子のことをどれだけ理解できているかが愛情の深さだと考えており、事あるごとに「理解できているか」と自問する。 例えば、サナトリウムの生活が始まってまもない頃、暮れゆく日の光に照らされた風景を見ながら、この光景は2人の美しい思い出になるだろうと自分だけの世界にひたる。しかし一緒にいる節子は「風景がきれいに見えるのは、死が近いから」と感じている。彼女がそんな思いになっていると想像さえしていなかった「私」は恥ずかしさを覚える。 また、小説家である「私」は、自分たちをモデルにした小説を書き始める。書くことで2人の幸せをより確かなものにしたいと思ったのだ。ところが書き始めた小説は、病める女主人公は死に、残された男は気高かった彼女を心に生きていくという筋に、いつのまにか展開している。「私」はハッとして、再び恐怖と羞恥に襲われる。…この記事は有料記事です。残り1320文字(全文2113文字)あわせて読みたいAdvertisement現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>