映画の推し事毎日新聞 2025/6/28 08:00(最終更新 6/28 08:00) 2052文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷映画「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025 映画「それいけ!アンパンマン」シリーズの第36作「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」が6月27日に劇場公開される。NHK連続テレビ小説「あんぱん」もありブームが来ているタイミングともいえるが、近年の本シリーズに関してはある“ヒットの法則″の印象が強い。それは、作品やキャラクターの根幹・原点にかかわるような攻めた内容。映画「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025“コア層”狙ったヒット作相次ぐ 2024年に公開された第35作「それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン」はシリーズ史上最高となる興行収入7億3000万円を記録したが、こちらは「ばいきんまんが主人公であり、ヒーローとして描かれる」という意表を突いた内容だった。そして最新作では「アンパンマンに弟ができる」「ばいきんまんが重大な秘密を知っている」というこれまたファンならずとも興味をひかれる物語が展開する。Advertisement 原作モノのアニメーションにおいて、劇場版シリーズはライトなファンに訴求するために本編とはつながらない/うっすらつながるアプローチのものも多かった。しかし近年では劇場版「名探偵コナン」シリーズのようにコア層にターゲットを絞りつつヒットを記録している作品も多い。 テレビシリーズの総集編である「劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折」にも原作サイドと連携を取った新規描き下ろしのエピソードが挿入され、話題に。「僕のヒーローアカデミア」は劇場版のオリジナルキャラクターが原作やテレビシリーズにも登場した。「ジョジョの奇妙な冒険」の外伝を実写化したシリーズ最新作「岸辺露伴は動かない 懺悔室」では原作者の荒木飛呂彦が複数のアイデアを提供。原作者の井上雄彦が自ら監督した「THE FIRST SLAM DUNK」も含めて、いかに“濃く″できるかが生命線ともいえるだろう。映画「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025ばいきんまんのロボットに生命が そうした流れを明確にくんでいる「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」の内容はこうだ。アンパンマンを倒すために一計を案じたばいきんまんは、顔がぬれると弱体化する点に目を付け、特化したロボットを製作。 しかしアクシデントによりそのロボットは宇宙空間に飛び出してしまい、運命のいたずらかアンパンマンの命の源でもある「いのちの星」とドッキングしたことで生命を与えられる。しかし素材がロボットのため記憶はなく、アンパンマンに助けられて「チャポン」として生き始め、共同生活を送るなかで彼を慕うようになる――。 観客においては冒頭からチャポンの正体を知っているため、なかなかに切ないストーリーであり、水の能力を持つチャポンが人助けをしたいのにアンパンマンを傷つけてしまったり、ばいきんまんと遭遇した際に「お前はアンパンマンを倒すために生まれてきた」と知らされ、がくぜんとしたりする姿は実に悲痛。映画「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025ファン心理突いた展開 かつ、そこに至るまでの流れもファン心理に訴えかけるものとなっており、「チャポンがアンパンマンに憧れてバタコさんにマントを作ってもらう」「事件の大小に関係なく、困っている人を助けることこそが存在意義であるとヒーローの矜持(きょうじ)を教わる」といったエピソードや、「ロールパンナとメロンパンナの姉妹を見て家族の絆をうらやましがる」といったシーンが丁寧に紡がれていく。 キャラクターの配置も的確だ。ロールパンナは正義と悪の二つの心を持った複雑な存在であり、やがて自分の出生と精神のはざまで苦悩するチャポンの前フリになっている。映画「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025楽曲も問う「なんのために生まれた?」 加えて、重要な役割を果たすのが楽曲群。本作はチャポンが兵器かヒーローかの自己アイデンティティーを模索する物語といえるが、「アンパンマンのマーチ」の一節「なんのために 生まれて なにをして 生きるのか」とリンクしている。 かつ、アンパンマンがチャポンにかける「みんなの笑顔が見たい気持ちは変わらない。僕と一緒だね」という言葉に「アンパンマンたいそう」の「もし自信をなくして くじけそうになったら いいことだけ いいことだけ 思い出せ」が重なる。 なお、「アンパンマンのマーチ」をテーマにした作品といえばファンの間で語り継がれる第18作「それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ」があり、コア層が反応するポイントが幾重にも仕掛けられている。映画「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025新たなフェーズの始まり? 「ヒーローは生まれではなく生きざまで決まる」というテーマは、「一歩外へ出たら、君はアベンジャーズだ」の名ゼリフで知られる「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」ほか、カタルシスを与える手法としてさまざまな作品に見られるもの。「生み出されたもの自体に罪はない」というメッセージも同様だ。 そして「それいけ!アンパンマン」シリーズにおいては、歴代1位を記録した前作の神髄を引き継いだ形ともとれる。大人向けの「アンパンマンナイト試写会」も盛況の同シリーズは、新たなフェーズを迎えているのかもしれない。(SYO)【時系列で見る】関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>