小寺陽一郎2025年6月27日 4時00分高層マンション群(記事の内容とは関係ありません)。全国の分譲マンションの数は700万戸を超えた=2025年1月、神戸市中央区、朝日新聞社ヘリから、小杉豊和撮影 首都圏のマンションの大規模修繕委員会に男2人が住民になりすまして参加し、住居侵入容疑で神奈川県警に逮捕された。2人は大阪府東大阪市の大規模修繕工事施工会社の従業員で、「会社の利益のためになるとも思った」と供述したという。 マンションの大規模修繕工事は、住民らでつくる管理組合が発注する。住民らは必ずしも工事に詳しくない一方で、工事費は高額だ。住民間の関係の薄さや組合運営への無関心などに業者がつけ込み、不正を働くことがあるとして、国土交通省が注意喚起し、公正取引委員会は業界を調査している。費用、10億円を超えるケースも 国土交通省の調査によると、大規模修繕工事の約7割は12~15年周期で行われる。外壁の塗装などで、1回あたりの費用は約1.2億~約1.5億円。大型マンションの場合は10億円を超えることもある。 国交省の推計では、全国の分譲マンションの戸数は2023年末で約704万戸あり、1999年の約2倍になった。1戸あたりの修繕積立金の月額は約1.8倍の約1万3千円となった。矢野経済研究所は、「共用部修繕工事」の市場規模は30年に約8200億円となり、22年(約5700億円)の1.4倍になると予測する。 事件の舞台となったマンションでは、現在主流となっている「設計監理方式」で工事をする予定だった。この方式では一般的に、コンサルタント会社が工事を設計し、同一の条件を設定して施工会社を募り、管理組合が価格などから選定する。コンサルが選定の助言をすることがある。工事が始まると施工内容の確認も行う。 コンサルについて国交省は17年、「管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントの存在が指摘されています」として、管理組合向けに文書で注意喚起していた。特定の工事業者の受注を工作するコンサルも 文書では設計監理方式について、透明な形で工事業者選びを進めるために有効とする一方で、不適切な事例を紹介した。コンサルが候補の施工会社5社のうち1社だけに特別な情報を伝えこの社が内定▽コンサルが自社にバックマージンを支払う工事業者が受注できるよう不適切な工作をした――などだ。 マンションの大規模修繕工事をめぐっては、公取委が今年3月以降、見積もり合わせや入札で、事前に受注業者や受注額を決めていた疑いがあるとして、工事業者など約30社に立ち入り検査に入り、調査中だ。 事件の舞台となったマンションでは、住民になりすました男らの提案を経て、大阪市の大規模修繕コンサルタント会社を選ぶことが決まっていたが、事件で白紙になった。【はじめるなら今】記事読み放題のスタンダードコース1カ月間無料+さらに5カ月間月額200円!詳しくはこちらこの記事を書いた人小寺陽一郎東京社会部専門・関心分野事件事故、消費者トラブル、不動産こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ6月26日 (木)フジ取締役選任、会社案可決日本郵便の事業許可取り消しフリーランスに無償で講師役6月25日 (水)イスラエル・イラン 停戦合意丸亀製麺 「休憩時間」に労働UFOキャッチャー進化40年6月24日 (火)宅配便 手渡しは追加料金も首相、ひめゆりの塔に献花パンダ「帰国ラッシュ」6月23日 (月)アメリカ、一転しイラン空爆都議選、都民ファが第1党に口座乗っ取り 補償巡り隔たりトップニューストップページへイタリアPFAS汚染、日本人2人に拘禁刑16年 三菱商事関係会社1:59「家族が崩壊、日本は滅亡」夫婦別姓反対を自民に迫った保守系団体20:29米GDP0.5%マイナス成長 頼みの個人消費が急減速 1~3月期1:47天皇ご一家の愛犬「由莉」死ぬ 小児病棟の訪問活動にも参加21:25波乱のNY市長選、無名33歳が優勢 トランプ氏は民主党攻撃に利用17:30胸元開かない服に「使えねぇな」 取材現場の孤独、心寄せ合う場を16:00