2025.06.27竹内 修(軍事ジャーナリスト)tags: アメリカ軍, ミリタリー, 早期警戒管制機, 航空, 航空自衛隊, 軍用機自衛隊は「次期戦闘機」が完成するとみられる2035年頃までに、解決すべきもう一つの問題を抱えています。それは早期警戒管制機の更新。現代の防空に不可欠な装備ですが、存在自体が曲がり角に差し掛かっているかもしれません。 航空自衛隊が現在運用しているF-2戦闘機は、2035年からの退役開始が見込まれています。拡大画像航空自衛隊が運用しているE-767(画像:航空自衛隊) このため防衛省・航空自衛隊はイギリス、イタリアと共同で進めている次期戦闘機の開発プログラム「GCAP」で開発される有人戦闘機の2035年就役を目指しているわけですが、実のところ航空自衛隊はもう一つの「2035年問題」を抱えています。それはE-767早期警戒管制機の更新です。 今のところ防衛省・航空自衛隊はE-767の更新について明言していませんが、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)が複数の企業関係者から見せてもらった資料には、E-767の更新目標年が2035年と明記されていました。 E-767は大雑把に言えば、アメリカ空軍などが運用しているE-3早期警戒機管制機の最終生産型に搭載されている円形の大型レーダー(レドーム)や監視システムを、ボーイング767-200ER旅客機に移植したものです。運用開始後も数次にわたって、アメリカ空軍のE-3に準じた能力向上改修が行われています。 このような機体は、前述のように早期警戒管制機と呼ばれ、搭載された円形のレドームは、回転することで通常の戦闘機や輸送機に搭載されるものよりも強力な広域探知能力を発揮し、高高度を飛行しながら、敵の攻撃が及ばない戦線後方でパトロールと航空戦の指揮を行う役目を担います。そのため、「空飛ぶレーダー基地」と称されることもあります。当初、アメリカ空軍はE-3に関して、2010年代前半に行った能力向上改修により、は2030年代まで運用できると考えていました。ところが、ベース機のボーイング707が民間航空機としてほとんど使われなくなって久しいことから、補用部品の調達が困難になっており、稼働率は40%台に低下しているとも報じられています。また、2010年代後半以降に発生した紛争の教訓を精査した結果、能力向上改修を受けたE-3でも、現代の航空戦には次第に通用しなくなるという危機感も抱いていました。このためアメリカ空軍は数年前からE-3の更新を模索しており、今後E-3の能力向上改修は行われない可能性は無いと見て良いでしょう。その場合E-767をアメリカ空軍のE-3に準じた仕様に改修して、現代の航空戦に対応させていくことは難しくなります。【次ページ】アメリカは「皿を回さない新型」で更新…しないかも?【皿が…ない!?】これが、現状で自衛隊が納入する可能性のある空中警戒管制機です(写真)