朝日新聞記事有料記事西崎啓太朗2025年2月28日 12時00分藤田直哉さんのコメント 北陸新幹線の延伸計画は「千年の愚行」――。金閣寺や清水寺など京都の約1千カ寺が加盟する京都仏教会が2024年末、京都府と京都市に申入書を出し、計画の再考を求めた。なぜ、宗教者が待ったをかけるのか。京都仏教会の常務理事で、聖護院の門主の宮城泰年(たいねん)さん(93)に聞いた。インタビューに応じる宮城泰年さん=2024年12月23日午後5時23分、京都市左京区、西崎啓太朗撮影 ――再考を求めているのは、なぜですか。 京都市中心部には鴨川が流れ、京都盆地の地下には琵琶湖に匹敵する水がめがあります。信仰に水は欠かせません。延伸に伴うトンネル建設で、京都の水に悪影響が出るのではないか。これを一番心配しています。 ――京都にとって水はどれほど重要ですか。 鴨川の水は、日本三大祭りの一つ、祇園祭に不可欠です。八坂神社(京都市東山区)のみこしは鴨川の水で清められた後、京都の街を巡る。祇園祭は清浄な水があってはじめて営まれるのです。 延伸計画のルート案は、鴨川の源流域付近を通るように見えます。そこは北山と言われ、貴船神社や雲ケ畑の古刹(こさつ)の志明院など水に関係する信仰が残っています。京都の人々は、水は北山の神々が与えてくださると昔から信じてきた。このごろの人は水の神様のことを考えませんが、こうした歴史性を無視してはだめだと思いますね。自然のなかで生かされて ――水への影響のほかはどうですか。 仏教には「山川草木悉有(しつう)仏性」という言葉があります。山も川も草も木も全部、仏の心を持っている。自然そのものが尊ぶべきもので、人間はその自然のなかで生かされているということです。 現行の延伸計画では、京都の北から南まで大穴が開く。大自然によって我々は生かされているのに、それが冒されるかもしれないことに危機を感じます。 延伸の影響は生態系全体に広がりかねません。音に敏感な野鳥は、トンネル工事や地下を通る新幹線の音に反応して、すみつかなくなるかもしれない。便利ささえあったら地球をいくら破壊してもいいとなってはいけません。小さな命が今までと同じように生きていけるように、と思います。西脇隆俊・京都府知事(手前)に意見を伝える宮城泰年さん(中央)=2024年12月19日午後4時51分、京都市上京区、新井義顕撮影 ――延伸で北陸と関西の行き来が便利になる点はどう考えていますか。延伸計画は「千年の愚行」どころか「有史以来の愚行」と宮城さんは指摘します。これまでに京都仏教会が批判した古都税や景観問題も語られます。 北陸の人は関西にもう少し早…この記事を書いた人西崎啓太朗京都総局|京都府政専門・関心分野移民、難民、宗教、農業、中東地域関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ2月28日 (金)大船渡の山林火災 1人遺体出生数は過去最少 2024年セブン創業家が買収を断念2月27日 (木)国民民主、与党案を拒否兵庫維新、県議2人を処分「ヘイト本」は置かなかった2月26日 (水)高校授業料の無償化に合意ウクライナ戦闘終結決議採択「進研ゼミ」生成AIを搭載へ2月25日 (火)ドイツで右翼躍進、第2党に立憲民主、「埋没」に危機感陥没事故後、各地で不審電話トップニューストップページへ還流再開求めたのは「下村氏」 安倍派元会計責任者、東京地検に供述4:00米価、2月もまた上昇 備蓄米の放出表明後も高騰止まらず9:17迫るトランプ関税、カナダで米国不買運動 メキシコは「従順」貫く12:01日経平均、一時1100円安 米追加関税への懸念で、半導体株下落10:52大船渡の山林火災、焼損面積は1200haに 消防応援は倍以上に11:22埼玉県議、時間超過で質問取り消し 「計測ミス」→翌日答弁から再開10:04