有料記事黒田早織 二階堂友紀2025年6月5日 22時32分原告の李琴峰さん(右)と「李琴峰さんを支える会」共同代表の高井ゆと里さん=2025年6月5日午後2時28分、東京・霞が関、黒田早織撮影 トランスジェンダーだとSNS上でアウティング(暴露)されたとして、台湾出身の芥川賞作家・李琴峰(りことみ)さん(36)が5日、投稿者の甲府市議に550万円の賠償と投稿の削除を求める訴訟を東京地裁に起こした。 李さんは同日の会見で「この世界には特定の人にしか襲ってこない嵐がある。私は嵐に襲われ、平穏な日常を奪われた。私に起きた被害は氷山の一角に過ぎない」と訴えた。 李さんは2013年に来日。来日前に女性へ性別変更手続きをし、性別移行の経験を明かさず暮らしてきた。だが、21年に芥川賞を受賞後、李さんがトランスジェンダーだと暴露する投稿が複数のSNSで広まった。 李さん側によると、甲府市議の村松裕美氏は24年5月、フェイスブックで李さんについて「身体が男性で手術もしていません」などと投稿。李さんの未成年時の写真や過去の氏名なども投稿したという。 李さんは村松氏と面識はなく、「機微な個人情報を突然さらされ攻撃された」と主張。一部の投稿は今も削除されておらず、人格権やプライバシー権を侵害されたなどと訴えている。 アウティングで追い詰められた李さんは同年11月、カミングアウトして被害を訴えることを余儀なくされた。適応障害と診断され、心身の不調が続いているという。 李さんはカミングアウトした当時、「私は女性であり、レズビアン。本当は公表などしたくなかった」と語っていた。 村松氏は「最初の投稿はすでに削除しており、その後の投稿も適切に対応した。名誉毀損(きそん)に当たるのかを弁護士と相談したい」とコメントした。トランスジェンダーにとってのアウティングとは 「アウティングは、李さんの女性としての平穏な生活を奪い去ってしまいました。李さんが苦労して築き上げてきた人生と生活を破壊したのです」。李さんと会見した高井ゆと里・群馬大准教授(トランスジェンダー研究)は、アウティングが李さんに与えた影響をそう表現した。 アウティングは性的指向や性…この記事を書いた人黒田早織東京社会部|裁判担当専門・関心分野司法、在日外国人、ジェンダー、精神医療・ケア二階堂友紀東京社会部専門・関心分野人権 性や家族のあり方の多様性 政治と社会こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ6月5日 (木)李在明氏、韓国大統領に就任出生数、初めて70万人割れ朝食抜くとおなかぽっこり?6月4日 (水)長嶋茂雄さん死去 89歳ロシア、事実上の降伏を要求台風1号、まだ発生なし6月3日 (火)内閣不信任案なら解散検討元横綱白鵬が退職届閉山した金鉱山 外資が狙う6月2日 (月)懲役・禁錮が廃止、拘禁刑に赤字の国内線 路線維持へ議論クマ 道を避けている可能性トップニューストップページへ卸売業者間でコメ価格下落、随意契約の影響か 小売に波及する可能性20:14米中首脳が電話協議、関税テーマか 第2次トランプ政権発足後では初22:13フジテレビ、港前社長と大多元専務を提訴へ 元編成部長ら計5人処分18:20「嵐に襲われ、日常奪われた」SNS上の暴露めぐり芥川賞作家が提訴22:32日本、今回のW杯最終予選初黒星 オーストラリアに敗戦は09年以来22:53日本のispaceまもなく月面着陸 ぶっつけ本番、難敵は「重力」18:00