2025.06.05乗りものニュース編集部tags: アメリカ軍, ミリタリー, 空母, 船, 艦艇(軍艦)長らく解体方針が決まっていなかった空母。この解体は初めて尽くしの試みとなる アメリカ海軍は2025年5月30日、退役した元原子力空母「エンタープライズ」の解体に関する契約を民間企業と締結したと発表しました。拡大画像就役40周年のときの「エンタープライズ」(画像:アメリカ海軍) 解体を請け負うのは、バーモント州ヴァーノンに拠点を置くノーススター・マリタイム・ディスマントルメント・サービスLLCです。原子力空母の解体は史上初の試みであり、解体から廃棄までの全工程を民間企業に委託するのも、もちろん初めてとなります。 契約金額は5億3674万9731ドル(約777億円)ですが、過去には公営でやれば安く見積もってもおおよそ7億ドルかかるという報道もあり、アメリカ海軍によれば、公営の造船所で実施する場合と比べかなり抑えられた金額になっているとのことです。 今回の契約により、元原子力空母「エンタープライズ」は完全に解体され、発生するすべての材料は適切にリサイクルまたは廃棄されます。特に、低レベル放射性廃棄物を含む有害物質については、適切に梱包され、認可された処分場に安全に輸送・廃棄される計画です。解体作業は2029年11月までに完了する見込みです。「エンタープライズ」は、史上初の原子力空母として1960年に就役し、「ビッグE(Big E)」の愛称で親しまれました。冷戦期から、9.11同時多発テロ事件後の「不朽の自由作戦」に至るまで、数々の作戦に参加しています。 2012年に退役したものの、8基の原子炉を搭載していることから、解体方針の決定には長い時間を要しました。加えて、アメリカ海軍には原子力空母のような大型艦を数年間かけて解体できる設備が存在しないため、「エンタープライズ」は長らくバージニア州のニューポートニューズ造船所に停泊していました。そして今回、ようやく民間企業への委託が正式に決定された形です。【画像】解体を待つ身…これが、老朽化した船体で浮かぶ「エンタープライズ」です