中村文則の書斎のつぶやき:断絶促す年金改革法案 助け合う方向から離れてしまう

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中村文則の書斎のつぶやき注目の連載速報毎日新聞 2025/6/5 16:00(最終更新 6/5 16:00) 有料記事 1586文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷=本人提供 現代社会を鋭く洞察する芥川賞作家、中村文則さんのコラム「書斎のつぶやき」。今回は「もし成立すれば、人々は、ますます助け合う方向から離れていく」と指摘する年金改革法案などについて問いかけます。   ◇ いろんなものが高い。 そしてとうとう、米まで随分高くなった。 日本の農作物は全て根幹だけど、米は象徴的な感覚がある。人々の生活も、年々苦しい。 日本もここまで来てしまった感がある。元々いい国なのに、長年酷(ひど)い政治が続いたので、残念ながらこうなった。そろそろ僕達(たち)の意識も変えたいと思う。日本の進む方向は、低中間層の底上げ、に決めたらどうだろう。 こう言うと、人はいい気はしない。中間層の底上げはいい、でも低所得者への援助は嫌だと。こんな外国の小話がある。悪魔がある人に、君に何かしてあげる、隣人には同じことを二倍してあげる、と言った。するとその人は何かをもらうのではなく「なら俺の目を一つ見えなくしてくれ」と言ったという。人は元々、自分以外の人が得するのが嫌なのだ。 なら今審議中の年金改革法案はどうか。最悪だと思う。厚生年金の積立金が国民年金だけの層にも使われると言われれば、不公平感が広がる(余ってるなら労働関連に使えばいい)。税金で全体を底上げすればいいのに、わざわざ断絶をつくってるとしか思えない。もし成立すれば、人々は、ますます助け合う方向から離れていく。将来的に国民年金だけの層が困窮した時、厚生年金の層から「俺らの積立金も入ってるのに」と思われるのは目に見えている。税金投入分を抑えたいのもあるだろうが、そうやって断絶させ、助けないでいい空気をつくりたいのかもしれない。国民を断絶させ統治しやすくするのは、実は歴史的にもよくある手法。作り直してほしい。 あんな断絶を促す政策ではなく、本当の意味で、低中間層の底上げの方向へ社会を向けたい。現在の弱肉強食社会では、全体の景気はよくならない。景気がいい、とは、皆がお金を使うことだから。弱肉強食マインドで大勢の人が麻痺(まひ)してるけど、本当は、お金を使うには「安心」が必要だ。…この記事は有料記事です。残り710文字(全文1586文字)【前の記事】国民を断絶させたいのか関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>