仙台市アリーナ開館記念アイスショー「The First Skate」のオープニングで演技する羽生結弦さん=ゼビオアリーナ仙台で2025年7月5日、貝塚太一撮影 仙台市アリーナ開館記念イベントと銘打たれたアイスショー「The First Skate」が5日、ゼビオアリーナ仙台で行われた。ショーには羽生結弦さん、本田武史さん、鈴木明子さん、本郷理華さんら仙台ゆかりのスケーターが出演した。 演技後の報道陣との主なやり取りは以下の通り。【芳賀竜也】「みんなと一緒に作り上げた」 <演技を終えて感想を> 本郷 まずこの新しいリンクで滑ることができてうれしかったです。 鈴木 私は第二のふるさとと思っているこの仙台で、先輩、後輩たちと一緒にすることができて、すごく貴重な機会。楽しみました。Advertisement 羽生 先輩方、本郷さんは後輩なんですけど、地元のスケーターのみんなと一緒にこうやって一つのショーを作り上げて、仙台の地でみんなで何かを作り上げるということの楽しさと、またそれを仙台の方々、また仙台に集まってくださった方々に対して発信できたのはすごく良かったなと思います。 本田 この仙台で滑れたっていうことは本当にうれしく思いますし、仙台のオリンピックチャンピオンが2人いるっていうところも、この盛り上がりっていうのも、ならではなのかなと思いますし、これから今日一緒に滑ったスケーターたちも、世界でメダルを取れるような選手に育ててほしいなと思います。 <新たにスケートリンクができ、仙台の人にとってどのような場所になってほしいですか> 本郷 私も仙台で始めた時に、先輩方がたくさんいて、フィギュアが強いなということをなんとなく感じながら、その先輩たちの姿を追いかけようって頑張って練習をしようと思ってやってきたんですけど、やっぱり一度リンクがなくなってしまって、それで名古屋に練習拠点を移したので、これからの選手はそういう思いをせずに、好きなスケートをいい環境でやってほしいなと思いますし、今までスケートを身近に感じていなかった方も身近に感じてもらって、もっと仙台にスケートをする人が増えたらうれしいなと思います。 鈴木 私も当時、仙台でリンクが一度閉鎖されてしまって、署名活動をしてきた仲間でもあるんですけれども、選手たちにとってリンクがないと、練習にもならなくて、続けることができないので、本当に新しくリンクができて、練習環境が良くなって、またその夢から目標に変わって、ここでショーとか大きい試合に出てみたいっていうか、そういう目標が育っていったらいいなというふうに思いますし、また見る方たちも身近にスケートを感じてもらえて、一緒になって盛り上がっていったらいいなというふうに思っています。 羽生 もう本郷さんと鈴木さんがすべて言ってくれたので。 鈴木 ユヅの言葉がほしいんだよ、みんな(笑い)。仙台市アリーナ開館記念アイスショー「The First Skate」のオープニングで演技する羽生結弦さん=ゼビオアリーナ仙台で2025年7月5日、貝塚太一撮影 羽生 その通りだなという言葉を聞いていただいていたんですけど。あと、本田さんとかもそうなんですけど、どうしても仙台のリンクで練習し続けるという中で、世界のトップを狙っていくっていうことになっていくと、もっと恵まれた環境に行かざるを得ないっていうことが僕も含めてあって。 そういうことがあると、自分たちもその故郷への思いであったりとか、家族への思いであったりとか、仲間への思い出だったりとか、いろんなことがうわーってなる時期が絶対あるので。やっぱり好きな場所で、好きな仲間と、好きな先生と一緒にずっとできたらいいなっていうことはありました。 本田 本当に言うことがなくなったです(笑い)。これだけの素晴らしい会場ということもありますが、今後、練習だけではなくて、競技会などを通してスケートを見に来る方が増えたりしていただきたいなっていう環境作りにも、一歩進んだのかなっていうふうに思うので、ほんとに今日の「The First Skate」のいいスタートだったんじゃないかなと思います。「試合でも活躍してくれる氷に」 <羽生さんにお聞きします。仙台の子供たちと一緒に滑ったのは感慨深かったのではないかと思いますが、その辺のことと、羽生さんご自身はまだまだスケーターとして頑張っていきたいというお話を前にされていました。その辺の思いは> 羽生 後ろの質問の答えはなんて言ったらいいかわかんないんですけど、とりあえず体が動くうちは全力で、全身全霊で滑り続けたいと思います。 別に、後輩に背中を見せるとかそんなん関係なく、何かフィギュアスケートの可能性を切り開きたいとかそういうのも全然関係なく、ただひたすら自分が目指しているものであったり、また新しいものであったり、理想だったり、そういったものを常にアップデートしながら、なんかいいものを日本に、世界に発信できるように頑張っていきたいなと思っています。 後輩たちと一緒に滑ったということについては、僕自身、こうやって本田さんとか鈴木さんとかと一緒に滑ることが、やっぱ小さいころからアイスショーであって、そのたびに非常に大きな刺激を受けて。 僕は小学6年生の頃からシニアのアイスショーに参加させていただいたんですけど、その時に、ものすごく間近で見るジャンプの迫力であったりとか、表現力であったりとか、スピードの緩急であったりとか、ものすごくいろんなことに刺激を受けました。そして、勉強になりました。 今日滑った子供たちが、そうやってちょっとでも僕らの中から刺激を受けたり、また勉強になったり、いや、こいつらより絶対うまくなってやるって思ってくれるような子たちが出てきてくれたらうれしいなと思います。 <4人の方全員にお伺いしたいんですが、それぞれソロのプログラムの選曲だったり、振りつけだったり、プログラムを選んだという理由、そこに込めた思いがあれば、それぞれ教えてください> 本郷 今回滑ったプログラムは、自分の中ではすごく挑戦、気持ちが上がるというか、選手の時もあまり滑ったことがない自分に挑戦したプログラムでした。 新しい、自分の中でもプロになってから挑戦したことの一つだったので、そのプログラムを新しいところに滑れたらいいなっていうのと、あとは、お気に入りだと思っていて、今度プログラムにします。 鈴木 「月の光」もだいぶ前のプログラムにはなるんですけれども、私自身がこのプログラムが大好きなものであるというのと、あと、私は月の光にすごく落ち込んでる時とかでも、空を見ると励まされる。月がきれいなだな今日も、で励まされることが結構あって、なんかそういう照らしてくれる存在っていうのが自分のスケートでもそうやって人の心を照らして、なんか穏やかな気持ちになってもらえたらいいなという気持ちを込めて滑りました。 羽生 始まりということが一つのテーマでもあるので、自分にとっては始まりの季節、春というようなイメージでは選ばせていただきました。 何か少しでも、今日滑った子たち、そして今日見に来てくださった方々の中で、なんか季節だけじゃなくて、この(プログラムを)見たことがきっかけで何かが始まったり、何か一歩進めることができたらいいなという思いを込めて、祈りを込めて滑りました。個人的には本田さんのリバーダンスがめちゃくちゃ熱かったです(笑い)。 本田 リバーダンスにした理由は特になかったんですけど、やっぱり今まで、今のスケートのルールだと、その難しいステップをやったりしている中で、このリバーダンスってちょっと異色な時代のプログラムだと思うんですよ。そういうものもスケートとしては見せられるんだよということもありましたし、本田武史と言えばアランフェス(協奏曲)かリバーダンスなので、リバーダンスの方が曲的にも盛り上がるかなと思いますし、ここの最初の時にこうスケートをバーンと盛り上げたいな、自分の気持ちを盛り上げたいなっていう理由がありました。 <今日初めてこのアイスリンクで滑って、会場の雰囲気や氷の感触だったりをそれぞれお話いただければ> 本郷 慣れるまで時間はかかってしまったんですけど、すごく広くてお客さんもいっぱい。きれいでかっこいい会場だったなって思いました。 鈴木 まだ氷が張りたてで、新しく作った氷は本当に、氷を作ってくださる方たちが、本当にいい氷にしようと努力してくださって、今日の本番を迎えることができて、すごく本番がとてもいい氷で滑ることができたなというふうに思います。 あとはお客さんが入った会場を見た時に、特に今日は照明が明るい中でだったので、すごくお客さんの上の席の方たちもよく見えたので、すごく近く感じられる会場でいいなというふうに感じました。 羽生 専門的なことを言うと、バスケットボールであったりとか、アーティストさんのイベント用に作られていた会場なので、そもそも常設の氷を張るというのは非常に大変な作業だったと思います。 そんな中で、今日も、会場に来られた方は思ったと思うんですけど、非常に暑いですし、室温であったりとか、湿度管理であったりとか、本当にいろんなことを試しながら、やっとできた氷だなということを改めて感じつつ、そこにすごく感謝したいなっていうふうに今日思いました。 またこれから、まだ張りたてではあるので、これからいろんな経験を積んで、今日のことも含めて、もっともっと、試合でも活躍してくれるような氷になってくれると思いますし、また、お客さんも入った時に鈴木さんも言ってましたけど、すごくその表情が見える、すごく近くに演技の質感を感じられる会場の一つだと思うので、ぜひ足を運んでいただけたらうれしいなと思います。 本田 滑った感じはすごく滑りやすかったなと思います。でも、さっき結弦が言ったようにちょっと暑いなっていうので、結構体力が消耗しやすかったっていうところはあるんですけど。 それはまあ置いておいて、やっぱりフィギュアスケートだけではなくて、バスケットボールやコンサートもできるような会場。いろんなことができる。けどスケートもできるっていう会場ってなかなかないんですよね。日本全国。その中で、スケートをやりながらも他のものでできるっていう、こう多目的にできる建物って素晴らしいなと思いますし、やっぱり使いやすくなるんじゃないかなっていうふうに思います。