大掃除をこなす子供たち。定番の年末以外に、夏の実施が広まっているという=ゲッティ写真一覧 大掃除といえば年末が定番だが、昨今は「夏の大掃除」も浸透している――。 ある調査では約5割が「夏に大掃除をしたことがある」と回答。大手日用品メーカーの掃除商品の需要は12月に続き、7、8月にも高まるという。夏の大掃除が広まる理由や、猛暑による外出控えで気になる家の汚れについて、メーカーの担当者に聞いた。年末の負担減、年2回派も 「夏にやっておくと年末の大掃除の負担を減らせる」 「年末の大掃除から半年たつと汚れが気になってくるので大掃除は年2回やりたい」 大手日用品メーカー「花王」(東京都)が2024年7月に、10~80代を対象に実施したインターネット調査では、こんな声が上がった。Advertisement 有効回答者105人のうち、47・6%が「夏に大掃除をしたことがある」と回答し、「年末に加えて夏に大掃除をしたことがある」との回答も約3割あった。 夏に大掃除をする理由(複数回答)では、最も多かったのが「油汚れ・汚れが落ちやすい」で、「水が冷たくない・水回りの掃除が楽」「年末よりも寒くない」「乾きやすい」「長期休暇がある」と続いた。 夏に大掃除をする場所(同)は「キッチン」が26・9%と最多。2位は「窓・窓サッシ」、3位は「網戸」で、外での作業、水を使った作業が必要になりそうな場所が挙がった。 夏の方が油汚れが落ちやすいのは本当か。 実際に花王が室温20度と30度で油汚れの落ち具合を比べる実験をしたところ、温度の違いが大きく影響していた。 実験は、室温を20度と30度に設定し、油汚れを塗ったステンレス製の板4枚を使って実施した。花王が実施した室温の違いによる油汚れの落ち具合の実験=同社提供写真一覧 自社の強力タイプの台所用洗剤をスプレーして15分間放置した後、紙で拭き取ると、20度の場合はどれも汚れが取り切れなかったが、30度の場合は汚れが全て落ちたり、一部にとどまったりしていた。 花王の担当者は「一部に残った汚れを落とすには、もう一度、同じ作業を繰り返してみてください」とアドバイスする。 コンロの五徳は洗剤をスプレーして5分間放置した後、ゴム手袋の上に軍手をはめてこすると簡単に掃除ができるという。「花王…だいすき…」 後回しにしがちな網戸掃除は、24年12月30日にX(ツイッター)のこんな投稿が話題になった。 「クイックルワイパーで網戸の掃除が簡単にできるの昨日まで知らなかったョ…今まで必死に洗ったり拭いたりしてたのは何だったんだ… 防カビ効果あるからお風呂の壁拭いてから網戸いけば一枚二役だし…花王…だいすき…」床掃除用ワイパーを使った網戸掃除。縦に拭いた後、横に拭くといいという=花王提供写真一覧 投稿は430万回以上表示され、5万件以上の「いいね」がついている。 「今朝一生懸命手でふきふきしたばっか…来年それやる…」「昨日知りたかった!」「年明けに買ってきてやります」と返信が寄せられ、花王クイックル公式アカウントも「公式としてもおすすめしている使い方」としてリポスト(再投稿)した。 花王の担当者によると、同社のウエットシートには2枚の不織布の間に、ポリプロピレン製の格子状のネットが入っているため、強度が強いという。 網戸掃除のポイントは汚れが少ない内側から始めること。まず、ワイパーのヘッド部分を横長にした状態で、網戸の上部から縦方向に拭いていく。次に、ヘッド部分を縦長にして網戸の上部から横方向に拭いていく。外側も同様に拭いて終了だ。 気象庁が発表した7~9月の3カ月予報では、全国的に暖かい空気に覆われやすく、平均気温は平年より高い見込みだ。猛暑で外出を控えることが増えると、家の中の汚れが気になる人もいるようだ。 24年9月に花王が20~50代を対象に実施した別のインターネット調査(回答者412人)では、「猛暑の影響で在宅時間は長くなった」と45・1%が回答。そのうち、「在宅時間が長くなって、以前より家の汚れが気になった」と答えたのは65・6%に上った。 「猛暑でいつもより気になった汚れ」(複数回答)の1位は「ホコリや髪の毛」で56・6%。次いで「浴室の水あか」「床のべたつき・皮脂汚れ」「浴室のカビ」「エアコンの汚れ」となった。 1位と3位は床という点が共通しており、ワイパーを使うと手軽に掃除できるという。ワイパーはその他にも、Xに投稿があった浴室の壁や網戸、さらに畳や部屋の天井、壁、玄関のたたきにも使用可能。「掃除は上から下が基本」といい、天井、壁、床の順に掃除するといいそうだ。【御園生枝里】