暮らしの中の科学毎日新聞 2025/7/7 05:30(最終更新 7/7 05:30) 878文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷写真はイメージ=ゲッティ写真一覧 つらい満員電車。席が空けば早く座りたい。100年前、同じ悩みを抱えていたあの有名な物理学者は、ただ苦行を我慢するだけでは終わらなかった。駅で懐中時計片手に通り過ぎる電車を観察。物理学を駆使して見いだした方法とは。 「天災は忘れられたる頃来る」の名言で知られる寺田寅彦(1878~1935年)は日常と物理学をつなぐ珠玉の随筆を多く残したことで知られる。Advertisement 1922(大正11)年に発表した随筆「電車の混雑について」にこんな一節がある。「満員電車のつり皮にすがって、押され突かれ、もまれ、ほとんど堪え難い苛責(かしゃく)である」橋本幸士・京都大教授が書き留めた寺田寅彦が示した定理の証明=著書「物理学者のすごい日常」(インターナショナル新書)から抜粋写真一覧 寺田は混雑した電車をやり過ごす中で、混雑に周期的な「峰」と「谷」があることに気付く。電車は始発駅を離れるにつれ、遅れが生じていく。駅への到着が遅れると、乗り込む人数が増えるため、発車に時間がかかり、混雑は増していく。寺田は数式を操り、平均3、4本ごとに著しい満員電車となり、それに次ぐ2、3台はすいていくと推論した。寺田寅彦が調べた神保町の停留所での路面電車の混雑状況=随筆「電車の混雑について」から抜粋写真一覧 次に、東京・神保町停留所で路面電車の混雑状況や電車到着の間隔を調べ、ある程度正しいことを確認。「満員車は人に譲って、一歩おくれてすいた車に乗るほうが、自分のためのみならず人のためにも便利であり『能率』のいい所行(しょぎょう)であるように思われる」と結論づけている。 満員電車で座る方法は、現代の物理学者も考察している。過去に往復4時間の満員電車通勤をしていた橋本幸士・京都大教授はその秘訣(ひけつ)を「降りる人を見極めること」と語る。 橋本さんは、ホームの端に立ち、駅に入ってくる電車を隅から隅まで観察した。混んでいる車両が確認できたら、その車両がなぜ混むのか調べるため、始発駅から終点まで乗車してみた。制服を着た高校生や会社員などの降車駅を把握したり、別の路線や急行などと接続する電車を確認したりすることで、空席を予測できたとしている。 橋本さんは「物理学は日常生活とかけ離れたものと思われがちだが、寺田随筆のように人間の動きをきちんと法則化し、応用して自分も得できるところが魅力です」と話した。【垂水友里香】【前の記事】乗り物酔いはなぜ起きる? 行楽シーズン到来、困らないための対策は関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>