朝日新聞記事有料記事保坂知晃2025年6月1日 10時00分下津諒悟さんが復活させたハブ毛=2025年4月18日、大阪府吹田市、保坂知晃撮影 日本の自転車史をひそかに彩るグッズがある。「ハブ毛」という、車輪の軸(ハブ)に巻き付けられていたカラフルなブラシのことだ。愛知県にあった唯一の製造業者が生産を終了した後、2022年に大阪の自転車愛好家が自腹で復刻した。あれから3年――。この春には、専用販売サイトがオープンし、ハブ毛の歴史が新たな局面を迎えている。 ほんのりと昭和の風情を醸すハブ毛。その用途はハブの清掃用とも装飾用とも言われる。 愛知県津島市の「三優商会」が唯一の製造業者だったが、2021年ごろに生産を終了。自転車部品コレクターの下津諒悟さん(36)=大阪府=が日本の自転車文化の消滅を惜しみ、茨城県内のブラシ製造業者に依頼して自腹で復刻した。「レインボーハブゲカップ」開催へ それから3年――。もうけは度外視で計700本ほどを売ったが、個人の商いには限界があった。紫外線に強い、毛が抜けにくいなどの耐久性にもこだわったため「モノが良すぎて、まったくへたれない」(下津さん)。その結果、買い替えの需要がほとんどないという誤算もあった。 「このままでは日本の自転車文化を残すことは難しい」。下津さんが助けを求めたのは、都内で経営コンサルをしている山岡正樹さん(36)。山岡さんは10年来の自転車仲間の熱い思いを聞いて快諾。本業の知見を生かして販路拡大とブランディング戦略を練った。 英語と日本語を操るバイリンガルである山岡さんは、海外のメディアやSNSのインフルエンサー、自転車愛好家のコミュニティーなどに売り込みを展開。4月に販売サイト「レインボーハブゲジャパン」(https://rhj.base.shop/)をオープンした。 ハブ毛は少数生産で物価高騰もあり、2本セットで5500円(税込み)。決して安くはないが、わずか3日で用意した50本を完売。国内外に広がるハブ毛の潜在需要に驚いたという。今後は定期的な生産にシフトし、年間1千本の販売を目標にしている。「達成できなくても、おもしろいからいいかな」と下津さん。 ほかにも、ハブ毛カラーの洗車ブラシ、キーホルダーなどの関連商品や、下津さん自身を神格化し「ハブ毛大明神」という御朱印までつくった。 ブランディングのため、京都市内で今秋開催される自転車レースの協賛も申し込んでいる。 レース名は「レインボーハブゲカップ」とする予定だ。たどりついた「馬の毛」、ハブ毛史上最高の… ハブ毛はいつから存在していたのか――。そのヒントの一つが、「自転車のまち」の堺市にある「シマノ自転車博物館」に展示されていた。 堺市が1936(昭和11)…関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ6月1日 (日)イベント前倒し相次ぐ なぜコメ民間輸入、過去最大子ども見守り用GPS、悪用か5月31日 (土)水産物の中国向け輸出再開へ選択的別姓、法案が審議入り名なしのチョウ化石 実は新種5月30日 (金)トランプ関税に差し止め命令中国人学生ビザ「取り消す」NTTドコモ、銀行業参入5月29日 (木)捜査の違法性、再び認定スポットワーク 働き手保護へ学生ビザの面接を一時停止トップニューストップページへ理解者は20人、数学の天才も批判 異常事態のABC予想証明の行方9:00米国防長官、中国を警戒 日本に防衛費増求める 書面インタビュー8:00児童福祉施設で職員切りつけられ死亡 殺人未遂容疑で女を逮捕23:54iPhone製造支える中国の街、トランプ関税後に消えた残業10:00出所後に戻りたくなった刑務所 呼び捨ての日々から突然「さん」付け5:00年収1100万円超の利用者が全寄付額の54% ふるさと納税の構図8:00