フランス製戦闘機を墜とした「未知の中国製ミサイル」早くもベール脱ぐか? インドに主要先進国がこぞって注目のワケ

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2025.06.01関 賢太郎(航空軍事評論家)tags: J-20, インド軍, パキスタン軍, ミリタリー, 中国軍, 戦闘機, 航空, 軍用機インドとパキスタンが互いに領有を主張するカシミールで2025年5月上旬、空中戦が勃発。このとき、パキスタンが運用する戦闘機が初の戦果を挙げましたが、使用されたミサイルが早くもインドの手に渡った模様です。 2025年5月8日、インドとパキスタンという宿敵同士による空中戦が久しぶりに勃発しました。80年近くもあいだ対立し続けてきた両国は、これまで3度の戦争と無数の衝突を繰り返してきました。そうしたなか、突如として行われた今回の空中戦は、地理的にも政治的にも限定的な規模にとどまり、双方の戦闘機とも国境線を越えることなく、互いの領空内から長射程のミサイルを放ち合う戦いだったと推測されます。拡大画像パキスタン空軍のJ-10C戦闘機。PL-15ミサイルを搭載可能であり、それが今回の勝因につながった可能性が大(画像:パキスタン空軍) 空戦の結果、インド空軍の「ラファール」戦闘機が撃墜されるという結果は、パキスタンの軍事的・心理的勝利を意味したのではないでしょうか。しかし、このインドの敗北には奇妙な副産物が伴っていました。 恐らく、パキスタン空軍のJ-10C戦闘機から発射されたと推測される中国製のPL-15空対空ミサイルのロケット推進部が、ほぼ完全な形でインド領内に落下し、同軍によって回収されたのです。 この出来事が持つ意味は重大です。なぜなら、空対空ミサイルの性能は、魔法でも秘術でもなく、厳密な物理法則のうえに成り立っているからです。例えば、固体ロケットモーターの推進剤の種類や質量、燃焼時間、ノズル形状といった物理的な諸元が判明すれば、最大速度や射程距離を計算で正確に求めることは決して難しくないからです。 PL-15長射程ミサイルは、中国が近年開発した空対空兵器のなかで最も注目を集めているものの1種です。射程は公称で200kmに達するとの見方もあり、同種の空対空ミサイルであるアメリカのAIM-120Dや、欧州の「ミーティア」に回るとも劣らない性能を持っていると言われます。 その詳細は長らく謎に包まれていましたが、このたびの推進部の回収により、ついにベールの一端が明らかになるかもしれません。 なお、インドが回収したのは、あくまでもロケットモーターであり、核心部分とも言うべき電子機器は恐らく自爆によって失われている模様です。ゆえに、中国やパキスタンにとって、インドが回収し、性能がある程度明らかになるのは痛手かもしれませんが、致命傷ではないと思われます。【次ページ】80年ほど前にもあった「技術流出事件」【蓋パッカーン!!】これがPL-15ミサイル満載のJ-20のウエポンベイです(写真)