鳴り物入りで登場したのに…「日本車キラー」と呼ばれたアメリカ車なぜ消えた?「トランプ大統領よ、勉強して!」

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2025.06.01山崎 龍(乗り物系ライター)tags: クライスラー, 歴史, 自動車アメリカ車は「売れない」と言われていますが、日本人のニーズに合致すれば人気を掴むことは可能です。過去には単に価格が安いというだけで売れずに撤退していったアメリカ車がありました。 ドナルド・トランプ米大統領は、日本でアメリカ車が売れていないことを問題視して批判を続けています。しかし、日本人の間でアメリカ車の人気がまったくないかといえば、そんなこともありません。拡大画像北米仕様のダッジ「ネオン」4ドアセダンのリアビュー。北米市場ではダッジとプリマスの両ブランドで販売された「ネオン」だったが、日本市場ではクライスラーブランドで販売された(画像:クライスラー)。 2024年、ジープは約9500台を販売して輸入車販売台数ランキングで8位に入っていますし、大型自動二輪のハーレー・ダビッドソンは15万1200台を販売して輸入バイクの新規登録台数首位に君臨しています。 結局のところ、国産車にはない個性と魅力、良好なブランドイメージ、右ハンドル化などの市場要求に従ったローカライズ、充実したサービス体制、適切な価格設定などといった要件を満たしていれば、アメリカ車であっても日本で人気を掴むことは可能といえるでしょう。 翻ると、これらの要素が欠けていた場合、日本でのヒットはおぼつかなくなります。過去には国内で使いやすいサイズ・排気量にも関わらず、残念ながら売れなかったクルマもありました。その代表車種が1996年から日本市場で販売を開始したクライスラー「ネオン」です。 もともとこのクルマは、北米市場を席巻していた日本車や韓国車のエントリーモデルに対抗して、それまで中古車しか購入できなかった低所得者層をターゲットに1994年から販売を開始した小型車になります。徹底したコスト削減により、アメリカ本国ではエアコンなしのベースモデルが8975ドル(当時の為替レートで91万5450円)で販売されていました。 1990年代の日本は円高の影響で輸入車への関心が高まっていた時期ということで、フォード「トーラス」や「マスタング」、シボレー「カマロ」、ジープ「チェロキー」などが円高還元セールとして新車価格の引き下げを行っており、価格の安さとアメリカ車らしい個性が受けて人気を博していました。そのようなブームに乗ってクライスラー「ネオン」も日本に上陸したのです。【次ページ】低価格がウリの「日本車キラー」でも太刀打ちできず【なんじゃコリャ!?】日本未発売! これが3代目「ネオン」です(写真)