2025.06.08大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)tags: バス, 国際興業, 山梨交通, 路線バス山梨県の県庁所在地の玄関口、JR甲府駅の南口ロータリーには、首都圏在住者らにとって「見覚えがある色のバス」が並んでいます。運行会社役員に直撃すると、そこには明確な「理由」がありました。「見覚えがある色のバス」が勢揃い 山梨県の県庁所在地の玄関口、甲府駅の南口ロータリーに降り立つと、首都圏在住者などに「見覚えがある色のバス」が並んでいます。富士急行と並ぶ山梨県の主要バス会社で、2025年5月に設立80周年を迎えた山梨交通(甲府市)の乗合バスです。拡大画像JR甲府駅前に並んだ山梨交通の路線バス。車種はいすゞの中型バス「エルガミオ」(大塚圭一郎撮影) 路線バスの塗装は、白地に濃淡の緑色を鋭角的に配しています。一方、竜王・湯村温泉・甲府駅―新宿線や甲府―京都・大阪線などの高速バスと、貸切バスは白地に青色のラインが入っています。このカラーリングは東京都と埼玉県を地盤とする国際興業のバスとほぼ共通です。「国際興業カラー」なのは、山梨交通が秋北バス(秋田県大館市)、十和田観光電鉄(青森県十和田市)、岩手県交通(盛岡市)とともに国際興業グループだったことに由来します。しかし、国際興業はこれらのバス会社の持ち株を既に手放し、各社とも独立しています。 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は山梨交通の路線バス事業部長、池田雄次常務取締役執行役員に単独インタビューし、今後“模様替え”する可能性があるのかどうかを直撃しました。「国際興業グループになっていたからこそ」 山梨交通は1945年5月、太平洋戦争中の強化策として山梨県内の9つの鉄道・バス事業者が合併して発足しました。路線バスに加え、甲府駅前駅―甲斐青柳駅(20km余り)を片道56分で結んでいた鉄道(電車線)も営業しました。 しかし、マイカーの拡大などを背景に利用者数が低迷していた1962年に電車線は廃止。山梨交通の経営も振るわず、現在の甲州市出身で国際興業創業者の故・小佐野賢治氏側が山梨交通株を取得して同年に国際興業グループに入りました。 国際興業の傘下に入った山梨交通は経営基盤を立て直しました。現在の雨宮正英社長は「国際興業グループの一員になっていたからこそ、現在まで安定した事業を展開できた」と強調します。【次ページ】グループの"渡り鳥"車両も【ほらそっくり】これが東京・埼玉を走る「国際興業バス」です(写真)