史上初の原子力空母「エンタープライズ」解体へ 除籍から8年…なぜここまで時間を要しちゃったのか!?

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2025.06.09斎藤雅道(ライター/編集者)tags: アメリカ軍, ミリタリー, 空母, 船, 艦艇(軍艦)2017年2月にアメリカ海軍から除籍された原子力空母「エンタープライズ」は、以降、2025年5月まで解体を待つ状態が続いていました。なぜ正式決定までにこれほど長い時間がかかったのでしょうか。 アメリカ海軍で「ビッグE」の愛称でも親しまれた旧原子力空母「エンタープライズ」の解体に関する契約が、2025年5月30日、アメリカ国防総省とバーモント州ヴァーノンに拠点を置くノーススター・マリタイム・ディスマントルメント・サービスLLCとの間で締結されました。拡大画像現役時代の「エンタープライズ」(画像:アメリカ海軍) 同艦は2017年2月にアメリカ海軍から除籍され、以降、解体を待つ状態が続いていました。では、なぜ正式決定までにこれほど長い時間がかかったのでしょうか。 実は「エンタープライズ」は、1961年11月25日に就役した世界初の原子力空母です。なお、これまでに解体された原子力空母は存在しません。つまり、同艦の解体は世界初の試みとなるのです。そのため、あらゆる面で前例がなく、方針決定には長い時間を要しました。 まず、原子力潜水艦などと比べてはるかに大型の艦であるため、海軍が所有する既存施設には、数年かけて同艦を解体するための十分な設備が存在しませんでした。 仮に、新造艦を建造する施設で解体を行うとしても、膨大な費用がかかることが予想され、方針が定まらないまま、同艦は長らくバージニア州のニューポートニューズ造船所に係留されていました。なお、この係留にも年間数百万ドルという多額の維持費がかかっています。 一時は記念艦として保存する案も検討されましたが、搭載されている8基の原子炉の扱いが大きな課題となり、最終的には解体する方針に落ち着きました。【次ページ】民間企業に任せてはという話に【画像】潜水艦は解体例多数! これが、輪切りにされた原潜です