立候補や政治活動の障壁 男女差大きく 女性が議員になりにくい理由

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車から手を振って有権者に支持を訴える国政選挙の候補者=東京都新宿区で2022年6月22日午前11時42分、西本勝撮影 健康上の不安、「政治は男性が行うもの」という思い込み、そしてハラスメント――。 内閣府が6日公表した、選挙への立候補を断念した人らを対象とした調査で、女性の政治参画を阻む課題が浮かんだ。 日本は議員の女性比率が世界的にも低く、国会議員で19%(2024年11月時点)、地方議員で17.4%(23年12月時点)だ。Advertisement 内閣府の調査は、女性の政治参画の障壁を調べる目的で、昨年11~12月に実施した。 国政選挙や地方選挙、首長選挙に立候補を断念した人=男性500人、女性500人▽国政選挙や地方選挙、首長選挙に立候補したが落選した人=男性57人、女性41人▽全国の地方議員=男性3859人、女性1213人、不明3人――の計6173人から回答を得た。妊娠など健康不安が課題に 立候補を断念した理由について、男女共に最多となったのは「立候補にかかる資金の不足」で女性61.6%、男性67.2%だった。立候補時に国や自治体に一定額を納める供託金制度がハードルになっているのは男女とも変わらないようだ。議席や候補者の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」実現を目指す集会に出席した各党の議員ら=東京都千代田区で2025年3月6日、宮本明登撮影 続いて女性は「知名度の不足」と「専門性や経験の不足」と回答した割合が60.2%と多かった。 一方、男性は「知名度の不足」を60.6%が挙げたものの、「専門性や経験の不足」は46.8%にとどまった。 断念した理由で、男女で割合に最も差があったのは、「性別特有の健康課題があり支障が大きい」という項目だ。 男性は更年期障害など、女性は月経困難症や妊娠、更年期障害などが該当するが、これを理由にあげた割合は、男性が28.2%、女性は43.2%だった。「政治は男性」の思い込みに阻まれ 立候補したが落選した人に、立候補を決断してから投開票までに何が課題になったかを尋ねたところ、「立候補にかかる資金の不足」を挙げたのは、男性66.7%に対し、女性は73.2%だった。 続いて▽「当選前の職業との両立が難しい」男性63.2%、女性61.0%▽「家族の理解やサポートが得られない」男性61.4%、女性58.5%――となり、大きな男女差は見られなかった。 一方で、「政治は男性が行うものだという周囲の思い込みやそれによる慣習・環境」を課題に挙げた割合は、落選した女性で56.1%に対し、男性は45.6%。地方議員だと、女性は34.3%が挙げたが、男性は3.2%だった。当落を問わず男女差が大きいことが分かる。 立候補したが落選した女性の半数以上は、結果によらず「選挙運動とその準備の方法が分からない」および「専門性や経験の不足」を課題に挙げた。ハラスメントも男女差大きく 地方議員に対してハラスメントの実態をアンケートしたところ、「ハラスメントを受けた」と回答したのは女性で53.8%だったが、男性は23.6%にとどまった。 一方、「ハラスメントを受けたことはなく、直接または間接に見聞きしたこともない」と答えた男性は41.0%に上ったが、女性19.5%にとどまる。 また、「政治活動などと家庭生活の両立に課題があった」と回答した割合は、立候補を断念した人、立候補したが落選した人、地方議員のいずれにおいても、女性は半数以上が「課題があった」と回答しており、男性よりも高い割合となった。 依然として家事や育児、介護を女性がより負担していることが、立候補や議員活動のハードルになっている実態が浮かぶ。 内閣府男女共同参画局は「調査結果をもとに関係機関と課題を共有し、何ができるかを考えていきたい」とコメントした。【山本萌】