東北新幹線の「アキレス腱」解消が見えてきた! 福島駅で進む“ミニ新線”建設はどこまで進んだ?

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2025.07.08柴田東吾(鉄道趣味ライター)tags: つばさ, 山形新幹線, 東北新幹線, 福島県, 福島駅, 駅JR福島駅で、山形新幹線の上りアプローチ線の建設が進んでいます。供用開始は2026年度末の計画ですが、どこまで工事が進んでいるのでしょうか。 JR東日本が、東北新幹線の福島駅で山形新幹線のための上り“アプローチ線”の建設を進めています。2026年度末に供用を開始する予定ですが、2025年7月の段階でどこまで工事が進んでいるのでしょうか。現地を観察してきました。建設が進む福島駅上りアプローチ線。大きくカーブした真新しい上りアプローチ線の線路が目立つ(柴田東吾撮影) 福島駅では、東北新幹線から山形新幹線の線路が分岐しています。この分岐部分に設けられた線路がアプローチ線です。 現状は、東北新幹線の下り線のみから線路が分岐しています。ホームでいうと一番西側の14番線です。つまり、山形新幹線「つばさ」は下り山形・新庄行きと、上り東京行きの両方が同じ14番線を発着しているのです。 このため、下りの「つばさ」と上りの「つばさ」のどちらかが14番線に停車すると、もう一方の「つばさ」が福島駅に出入りできなくなってしまいます。 また、「つばさ」は東京~福島間で東北新幹線「やまびこ」と連結する列車があり、「つばさ」と「やまびこ」の連結・切り離しも14番線で行われています。このため、「つばさ」と連結する上りの東京行き「やまびこ」は、東北新幹線の下り線を到着前と出発後の2度、平面交差の形で横断する必要があるのです。 こういった複数の制約があるため、上り「つばさ」と下りの「つばさ」は福島駅ですれ違わないように配慮されています。また、上り「つばさ」と連結する「やまびこ」が福島駅に進入する際と、上り「つばさ」が福島駅を発車する際は、東北新幹線に下り列車が来ないようにしています。 しかし、輸送障害で列車ダイヤが乱れた場合は、「つばさ」が14番線しか発着できないことが大きなネックになります。福島駅付近に列車が滞留し、列車の遅れが拡大する原因にもなっています。 こうした事態を避けるため、上り線側にもアプローチ線が建設されることになりました。上りアプローチ線の新設により、福島駅で下りの「つばさ」と上りの「つばさ」の乗り場が分離されるほか、上りの「やまびこ」や「つばさ」が東北新幹線の下り線の線路を横断する平面交差がなくなります。 この結果、下り列車の遅れが上り列車にも影響することが減り、輸送安定性が向上するほか、列車の運行計画にも柔軟性が増すといった効果が期待されているのです。【次ページ】制約だらけの上りアプローチ線【線路できてる!】これが現地で見た「上りアプローチ線」と11番線です(写真)