オンラインの森:<ネタバレあり>最多視聴更新「イカゲーム3」驚きのフィナーレ! 予想上回る意外さが最後まで

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「イカゲーム3」© 2025 Netflix, Inc. 6月27日に配信開始されたNetflixシリーズ「イカゲーム」シーズン3。配信されるや否や視聴者が急増し、配信開始3日間で6010万ビュー(これは配信3日の記録としてNetflix史上最多)を達成し、Netflix週間グローバルTOP10(非英語)で1位、日本を含む各国でも週間TOP10の1位を記録している。 2022年のシーズン1は、アメリカのテレビ/配信シリーズ作品の頂点といわれるプライムタイム・エミー賞で監督賞を含む6部門を受賞し、非英語圏作品としては初の快挙をなしたことでもしられるビッグタイトル。Advertisement 待望されたシーズン2は24年12月末に配信され、年末年始にファンをにぎわせた。当時、僭越(せんえつ)ながら、ファン・ドンヒョクとイ・ジョンジェの会見コメントからシーズン3の無粋な予測をしたが(<ネタバレあり>「イカゲーム3」はこうなる?! 関係者の証言から結末をイチ早く予想!)、大筋はヒントのとおりだったものの、フィナーレには驚かされた。 まさかそこにつなげるための話になるとは、という思いと、こうしないと韓国版は完結できなかったという思いがないまぜに。当記事ではネタバレを後半部にしているので、未見の方はご注意いただきたい。「イカゲーム3」© 2025 Netflix, Inc.複数の物語が同時進行 賛否分かれた「2」 前述のシーズン3予測記事でも申し上げたとおり、シーズン2と3は同時に撮影されたものを分割している。シーズン1と2で大きく異なるのは、ストーリーラインがギフンを中心としたゲームプレーヤーだけでなくなり、ゲームメーカー、ピンクガード、ファン刑事を中心とした捜索隊、と大きく分けて四つの物語が同時進行。それゆえに、大きな物語となったギフンのラウンド2は賛否が分かれた。 デスゲームのクリエーティビティーと参加者たちの人間模様にフォーカスし、1エピソード1ゲームといったシンプルな構成だったシーズン1とは大きく異なるシーズン2だったため、困惑するのも無理はない。だが、シーズン3を見ると、こうでもしないと全22エピソードで終わらせることができなかったことも理解できるだろう。「イカゲーム3」© 2025 Netflix, Inc.プレーヤーの分断深まる「3」 (シーズン2~3ネタバレあり) シーズン3は、ギフンを中心に起こした反乱が制圧された直後から始まる。反乱はゲームメーカー側には何もダメージを与えず、逆にプレーヤーたちの分断をより深める結果になる。そして、なにごともなかったかのように第4ゲームのかくれんぼがスタート。鬼となる赤ゼッケンの組が青ゼッケンを見つけて殺せばクリア、というシンプルなもの。 クリエーターのファン・ドンヒョクいわく「描きたかったのは人々の絆が弱くなっていく様子」で、反乱によって深まった溝に加えて、誰かは伏せるが、分かれてはならない数人のグループが敵同士となる。 そこで生き残った人々は第5ゲームの大縄跳びへ。縄跳びをしながら橋を渡り、向こう側にたどり着けばクリア……だが、当然ここで故意にプレーヤーを突き落とす者や、弱者を切り捨てる者が現れる。「イカゲーム3」© 2025 Netflix, Inc.天空イカゲームの決着は…… 最終ゲームは天空イカゲーム。■▲●の巨大な柱の上を順に、誰か一人を押し出して落とせばクリア。決戦となる●で残ったら全員が優勝で賞金を山分けとなる。 ファン監督は「最も弱いものを狙って殺すため、民主主義的に多数決投票で殺す人を決める。大半が生き残る可能性があるが、欲を出す者が一人でもいると違う結果に」と語っているが、最終ゲームに残ったメンツを見れば強者弱者の順番は明らか。 だが、最後の最後まで予測不能の展開でゲーム終了を迎える。その一方で、ファン刑事たちの捜索はあらゆる妨害を経て、船長の陰謀にたどり着く。 同時に、敗れたプレーヤーの身体を利用した違法な臓器売買を摘発しようとしていたカン・ノウルは、彼女の真の目的に到達し、ある人物を逃がすことに……。 ファン監督がシーズン2で「確実に期待を裏切る」と言っていたとおり、予想は全く役に立たない結末が待っていた。それが、配信開始されてすぐにうわさが流れた「アメリカ版」だ。「イカゲーム3」© 2025 Netflix, Inc.「アメリカ版」への布石? (結末のネタバレ) シーズン3のラスト。しばらくの間、韓国でのイカゲームは開催不能になり、舞台がロサンゼルスに移ってグランドフィナーレを迎える(唐突ではなくちゃんとした理由があるのだが、見てからのお楽しみに)。 そこで登場するのがケイト・ブランシェット演じるリクルーターだ。コン・ユが演じた韓国のリクルーター同様に、路地裏でメンコをしているところをフロントマンが見つめるというシーンを見て、このデスゲームがアメリカ、ないしは世界のどこかで繰り返されており、その新シーズンやスピンオフの可能性をにおわせたのだ。 このエンディングについて、すでに「ザ・ハリウッド・リポーター」誌がファン・ドンヒョク監督にインタビューをとっている(https://www.hollywoodreporter.com/tv/tv-features/squid-game-finale-creator-american-spinoff-cate-blanchett-1236302729/)。「イカゲーム3」© 2025 Netflix, Inc.ファン・ドンヒョク監督続投せず? このインタビューを読むと、「インパクトある結末のために書いたこと。一瞬で画面を支配できるキャストを探し、彼女にお願いをした」とあるが、まさにそのとおり。配信開始前にオープンされたプレス用のプレビューでも、最終話だけは極秘扱いで見ることができなかったのだが、ラストシーンを見たときは声が出たほどだ。 その一方で、彼自身は、もうこのタイトルのショーランナーを続ける気はないことも明らかに。彼自身がスピンオフをやるとしても、シーズン1と2の間を埋めるエピソードや、過去にまで肉薄できなかったキャラクター(たとえばリクルーターやフロントマンなど)の可能性はあるとしても、ファン監督がアメリカ版、もしくはうわさになっているデビッド・フィンチャー監督版には関わる予定がないことを明言。 「(フィンチャーによるアメリカ版スピンオフに関しては)全く聞いていないし、あるとしたらフィンチャーの一ファンとして見てみたい」と語っている。「イカゲーム3」© 2025 Netflix, Inc.優良フォーマットのフランチャイズ展開に期待 いずれにしても、世界で多くの人々を魅了し、テレビエンタメ界の最高峰を制した韓国版イカゲームはこれで終了。あらゆる言語・文化を背景に新しいストーリーを作ることができるフォーマットであることも、全22エピソードで証明してくれた。 崖っぷちの人々の命を利用した金持ち相手のデスゲーム、ギフンやファン刑事のような正義感の強いキャラクター、それに対して率先してプレーしたがる貪欲なプレーヤーなどなど、国を問わず描きやすいキャラクターと舞台設定がそろっている。 デスゲーム系の実写作品は、そもそも日本ではもともと人気の高いジャンルのひとつだが、アメリカ版(もしくは英語圏版)ができれば日本を含めた他の言語・文化を持つエリアのバージョンが作られてもおかしくないし、相当額のライツビジネスが生まれる。 話題にはなったものの、出演者の安全を守りきるために表現が甘くなってしまったリアリティーショー「イカゲーム:ザ・チャレンジ」のように、アイデアを移植した別作品は難しいことは明らかになっているだけに、このタイトルによるフランチャイズの展開に期待がかかる。(よしひろまさみち)