記者会見には、亡くなった男性教諭の妻も同席した=2026年6月4日、岐阜市、高原敦撮影 岐阜県立高校の男性教諭(当時37)が2022年に、県農政部の男性職員(当時27)が23年に自殺したのはいずれも公務災害にあたると、地方公務員災害補償基金県支部が認定していたことがわかった。2人とも1カ月間に約100時間の時間外勤務が確認され、「公務が有力な原因となって精神疾患を発症し、自死に至った」とされた。認定は3月31日付。 代理人弁護士が4日、記者会見で明らかにした。教諭はうつ病を発症する6カ月前の1カ月間に97時間45分の時間外勤務が確認されたほか、発症前の半年間で20~32日間の連続勤務が3度あった。遺族は「長時間勤務や異動、運動部顧問としての負担、コロナ対応などが影響した」と主張している。 県職員は、亡くなる2年前に精神疾患を発症し、その直前の1カ月間に約114時間の時間外勤務があった。「短期間に相当量の作業を行う必要に迫られたことがうかがえる」とされた。 2人の遺族は、いずれも県に対し損害賠償請求をする方針。 岐阜県では13年にも特別支援学校の教員と県職員が自殺し、いずれも公務災害に認定されている。 私の夫は、2022年4月に、勤務する県立高校内で自死いたしました。 その日はいつもより30分早く起きてきました。家を出る前に「みんなで充電しよう」と言ってハグをしました。今振り返ると、これが最後のお別れだったのだと思います。 夫は担任するクラスに関することで悩んで、自信を失っていたようでした。「担任をする自信はありません」と希望調査で答えていたこともわかりました。 しかし、悩みながら働く中でも、部活動に行き、遠征にも行っていました。その結果、ストレスチェックで「高ストレス」と判定されていました。医師との面談が必要とされ、精神科にも行っていたことがわかりました。夫はそのようなことは家では話してくれませんでした。精神科にかかった時の書類は、車の中に残されたままでした。 夫は、自分が高校時代に熱心に活動していた種目を、自分でも高校で教えたいと考えて教員となりました。さらに、高校時代の恩師と同じ高校となって、当初はとても部活動指導に前向きであったことが、家でも夫と話していて感じました。部活動に行くのが楽しそうでした。 しかし、やがてその負担がどんどん増していったようです。土日のほとんどは部活動に行き、遠くまで試合や練習試合にも行っていました。食欲がだんだんなくなり、顔色も悪くなっていきました。笑顔が消え、元気がなくなり、ぼんやりしている時間が増えました。夜中に何度も起きているようでした。亡くなる直前の3月頃には話をしても返事がなかったり、興味を示さなかったりで、私から話しかけることも少なくなりました。 今ならわかります。夫は疲れ切っていただけでなく、追い詰められて、苦しんで心を病んでしまったのだと。 今振り返ると、私がもっと夫に寄り添って、声をかけてあげていたら、死ぬことはなかったのではないかと思います。しかし、当時の私は、慣れない土地で幼い子どもたちを毎日育てる事が精いっぱいで、それが出来ませんでした。悔やんでも夫はもう戻ってきません。 夫が亡くなって、長男は学校に行けなくなってしまいました。6月くらいまでは午前中で帰ってきたり、登校できなかったりして学校のカウンセリングも受けました。 そして、夫の自死から4年たち、それぞれ大きくなり、父親がいない生活に慣れてきています。今では長男も元気になり、お父さんとの思い出を話しています。末っ子はお父さんの顔は写真でしか見たことがありません。 私はまだ、子どもたちに対して、父親が自死で亡くなったことは話せていません。死を選んだ理由も話せていません。しかし、いつか話をする時がくると思います。 岐阜県教育委員会の方にお願いがあります。 夫のような死を選ぶ方を二度と生まないようにしてください。 夫は、土日の多くをつぶして部活動に行っていました。遠征にもしばしば行っていました。精神的にも肉体的にも、とても辛かったと思います。子どもたちと一緒に遊ぶ時間がもっと欲しかったのではないかと思います。もっと子どもたちの成長をみたかったでしょう。でも、そんなことを思う余裕も当時はなかったのだと思います。 好きなことをしているのだから大丈夫というのは間違っていると思います。 夫のように負担が重すぎると、うつ病になって、死ぬことだってあります。 私や子どもたちのように、大切な家族が亡くなるような方が二度と出ないことを望みます。 また、もし夫のように死を選ぶ方がいたら、必ずしっかり調査をしてください。遺族に寄り添ってください。「どうして死を選んだのか、知りたい」というのが、遺(のこ)された家族の一番の願いです。 遺族は、「自分が悪かったのか」「自分がもっと支えてあげれば」と後悔の念でいっぱいです。そして「一番近くで見ていたんでしょう?」「何で異変に気づいてあげられなかったの?」と言われます。しっかり調査してもらえれば、そのような遺族の苦しみも軽くなります。 この二つを、心からお願いしたいです。◆悩みの相談先〈NPO法人ライフリンク「生きづらびっと」〉LINE @yorisoi-chatチャット https://yorisoi-chat.jp/(月・金曜の午前6時~午後10時半、日・火・水・木・土曜の午前8時~午後10時半)〈NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア「こころのほっとチャット」〉LINE/Facebook @kokorohotchatチャット https://www.npo-tms.or.jp/public/kokoro_hotchat/(毎日の午前7時~午後11時50分)〈NPO法人あなたのいばしょ〉チャット https://talkme.jp/(24時間対応)〈NPO法人BONDプロジェクト〉※10代、20代の女性のための相談を実施LINE @bondproject(月・金・土曜の午後4時30分~同10時)メール hear@bondproject.jp(24時間受け付け)電話080・9501・5220(月・木曜の午後4時~同7時)〈#いのちSOS〉電話0120・061・338(24時間受け付け)〈いのちの電話〉電話0570・783・556(毎日の午前10時~午後10時)電話0120・783・556(毎日の午後4時~同9時)〈チャイルドライン〉※18歳までの子どものための電話電話0120・99・7777(毎日の午後4時~同9時)チャット https://childline.or.jp/chat(月・火・水・木・金・土曜の午後4時~同9時)