仮想現実(VR)装置をつけ、注意欠如・多動症(ADHD)の特性を体験する参加者ら=東京都渋谷区で2026年6月22日午後5時45分、寺原多恵子撮影 7月から障害者雇用の法定雇用率が引き上げられた。近年の状況を見ると、精神障害者の求職申し込みが急増している。 障害者の雇用促進が今まで以上に求められる企業は、身体障害者とは異なる「目に見えにくい特性」を的確に理解する必要があるが、どのように向き合えばいいのか。VRで「見えにくい特性」を体験 法定雇用率の引き上げが目前に迫った6月末。東京都内のビルの一室で、企業の人事や労務担当者ら約10人がゴーグル型の仮想現実(VR)装置とヘッドホンをつけていた。 VR映像で体験していたのは、発達障害の注意欠如・多動症(ADHD)や感覚過敏などの人たちの困りごとだ。 「仕事中、周囲の会話や途中で頼まれた別の業務などで気が散ってしまい、やろうとしていた仕事を忘れてしまう」「車に乗っていて、トンネルから出る時に景色が見えにくくなる」――。ADHDの人々の関心が次々と移り変わっていく様子や、視覚過敏、聴覚過敏の人の感じ方をVRで追体験しようとしていた。 これは、精神障害者の雇用を促進するための研修の一幕だ。 障害者雇用のコンサルティング業務などを手がけるレバレジーズ(東京都渋谷区)が企画した。 参加者の一人で人材紹介会社「Apex」(同)の人事担当、小島明さんは会社が精神障害者を雇用したため、理解を深めたいと参加した。 研修で障害がある人の立場を体験し「精神障害について理解していた『つもり』だったと気付いた。より本人の意見を聞く必要があると思った」と振り返った。精神障害者の求職増、受け入れに悩む企業 厚生労働省が6月に発表したまとめによると、2025年度の障害者の新規求職申込件数は27万8136件で過去最高となった。 内訳をみると、身体障害者と知的障害者は減少しているのに対し、精神障害者は前年度比約8%増の16万5316件で約6割を占めた。 過去5年間をみても、身体障害者と知的障害者は横ばい傾向だが、精神障害者は右肩上がりとなっている。18年度に障害者雇用促進法で精神障害者の雇用も義務化されたほか、精神障害への認知度の高まりが背景にあると見られる。 しかし、レバレジーズの広報担当者はこう説明する。「人材市場で著しく増えているのは精神・発達障害者だが、企業側からは… 7月に障害者の法定雇用率が引き上げられました。広がる障害者雇用ビジネスの現状や、雇用率達成だけではない受け入れのあり方に迫りました。 関連記事 広がる障害者雇用ビジネス 規制強化で問われる「質」に事業者は 「どこまで配慮?」悩む企業の障害者雇用ビジネスとの向き合い方Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【次の記事】「どこまで配慮?」悩む企業の障害者雇用ビジネスとの向き合い方【前の記事】広がる障害者雇用ビジネス 規制強化で問われる「質」に事業者は関連記事