付審判手続きで刑事裁判にかけられることになった検事(右)の取り調べ映像=山岸忍氏の弁護団提供 主任検事が証拠を改ざんし、幹部がそれを隠蔽(いんぺい)しようとした――。 16年前、大阪地検特捜部で検察組織を揺るがす大スキャンダルが発覚した。 この証拠改ざん事件を受けた検察改革の一環として本格的に始まったのが、取り調べの録音・録画(可視化)だった。 しかし、可視化された取り調べを巡り、容疑者を陵虐した罪で現職検事2人が相次いで刑事裁判にかけられることが決まった。 検察改革の意義を忘れているのではないか。裁判所の決定は素朴な疑問を投げかける。検察改革で「縦横のチェック」 取り調べの全過程の録音・録画は2016年の刑事訴訟法改正で義務付けられた。検察の独自捜査や裁判員裁判対象事件で逮捕・勾留された容疑者に対する取り調べが対象だ。 自白の任意性を担保し、供述の信用性を巡る争いが減ることが期待された。 東京地検特捜部ならば副部長、部長が映像をチェックし、問題があれば次席検事や検事正といった上級幹部がチェックすることもある。 検察改革で特捜部の独自事件は上級庁の高検のトップ、検事長が指揮することになった。高検、最高検には「特捜係」も配置され、捜査の状況は以前よりもこまめに報告されるようになった。 こうした「縦のチェック」だけでなく「横のチェック」も始まった。 起訴された事件は公判部門に移る。起訴前から公判担当検事の中から「総括審査検察官」が指名され、公判で問題となりそうな点を把握する制度が整えられた。 「検察の理念」も策定された。 「基本的人権を尊重して刑事手続の適正を確保する」 「容疑者、被告等の主張に耳を傾け、積極・消極を問わず十分な証拠の収集・把握に努める」 初歩の心得をあえて記載し、公益の代表者の原点を全職員に徹底しようとした。 だが、大阪地裁の公判で「検察の理念」の形骸化を疑う事態が発覚する。 記事後半では、特捜検事が容疑者に語った取り調べの可視化への思いと、裁判所が検察に厳しい姿勢で臨む背景を解説しています。「組織のブレーキがかからない」 「『主張に耳を傾け、冷静かつ多角的にその評価を行う』。今、これをやってるんだよ」。激しい口調で容疑者に迫る検事の傍らには「検察の理念」が掲げられていた――。 大阪地… 裁判所から取り調べの違法性を疑われた現職検事2人が刑事責任を問われる異例の事態となっています。2回にわたり「検察不信」の現場に迫ります。 前編:「検察庁敵視は反社や」 取り調べで「陵虐」東西特捜の非常事態 裁判の話題を深掘りしたメールマガジン「裁判Plus 司法のリアル」を毎月第1・第3金曜日に配信しています。登録ページはこちらになります。Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】「検察庁敵視は反社や」 取り調べで「陵虐」東西特捜の非常事態関連記事