飼っていたアヒルの「ガーコ」を抱き、愛車の前に立つ砂澤ビッキ=北海道音威子府村の自宅兼アトリエ前で1987年1月(砂澤凉子さん提供) 「神の舌」(1980年)、「四つの風」(86年)など大型の抽象的な木彫で知られる彫刻家、砂澤ビッキ(31~89年)の唯一の著書『青い砂丘にて』が半世紀ぶりに復刻された。夢で見た世界を記録しており、抽象彫刻の基層に潜んでいた無意識のイメージに迫ることができる。 ビッキは北海道旭川市でアイヌの両親の下に生まれた。 10代後半は農業の傍ら絵を描き、20代になると生活のため道東の阿寒湖畔で土産物の木彫を手がける。一方で神奈川県鎌倉市の文学者、澁澤龍彦の自宅に出入りし、理性を離れて無意識を創造の源とするシュールレアリスム(超現実主義)の思想に触れた。モダンアート協会展などに彫刻作品を発表して評価を高め、札幌市などを経て78年から北海道北部の音威子府(おといねっぷ)村の廃校跡を自宅兼アトリエとして創作に没頭した。私家版の装丁を忠実に再現 64~73年、ビッキは眠りの中で見た夢をメモしていた。それらを15編に分けて収めた『青い砂丘にて』を76年、私家版として300部刊行。友人たちに渡したといい、現在では入手はほぼ不可能だ。 大学時代に音威子府にビッキを訪ね、没後も遺族と交流してきた放送作家の奥村康治さん(61)は今年3月、北海道立旭川美術館の特別展でこの本を初めて見て衝撃を受けた。 「時空を超えた夢そのもので、宇宙的かつ…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事