高齢者向けのスマホ体験会=東京都葛飾区で2021年11月15日、村尾哲撮影 企業や行政の窓口対応に、デジタルや人工知能(AI)の活用が進む。「人につながらない」「どこに相談すればよいか分からない」という戸惑いは、高齢者に限らない。人口減少による人手不足で、窓口のあり方も変わらざるを得ない。人に相談できる仕組みと、どう両立させていけばよいか。「高齢社会をよくする女性の会」理事長の木村民子さんに聞いた。【聞き手・西尾英之】話すことが解決のヒントにも 窓口で人に話を聞いてもらえることには、大きな意味があると思う。聞いてもらえるだけで安心できるし、話しているうちに、展望が開けることもある。何に困っているのかを整理できることもある。ヒントやアドバイスをもらえれば、解決のきっかけにもなる。 「高齢者はデジタルが苦手」とひとくくりにするのは違う。私は団塊の世代だが、30歳代前半にワープロを使い始め、1999年に50歳代で東京都内の区議に当選してからは、同僚に教えてもらいながらパソコンやメールを使うようになった。いまはスマートフォンやLINEも活用している。 私たちの会が2020年に行った会員を対象にした調査では、通信手段として使用頻度が高いのは、固定電話やスマートフォンだが、最も使いにくいのもスマートフォンという結果だった。同じ高齢者でも事情はさまざまだ。年代やこれまでの経験によっても違う。技術・家庭科の男女共修課程が取り入れられたのは、90年代だった。高齢女性には、そうした通信機器に触る機会がほとんどなかった人もいる。高齢者をひとくくりにするのではなく、「老いの多様性」に目を向けてほしい。 スマホやLINEはとても便利だ。だから、デジタル化そのものを否定するつもりはない。ただ、窓口をすべてデジタルに置き換えれば、ついていけない人が出る。電話をかけても、用件ごとに番号を押すよう求められ、機械的な音声を聞いているうちに「もういい」と電話を切ってしまうこともある。そうなると、相談そのものを諦めてしまう。 JRの切符も券売機の高機能化で「みどりの窓口」の縮小が進んでいるが、有人の窓口は残してほしい。スマートフォンで予約できるのは便利だが、行き先を伝え、係の人と相談しながら切符や列車を選びたいこともある。 … 関連記事 誰もが「相談する権利」 つながる仕組み確保は事業者の責務 「人手不足時代でも必要な場所には人を」 庄司昌彦・武蔵大教授のインタビューは17日16時公開予定です。Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事