JR東日本が始めた、みどりの窓口でAIが客の要望を聞き取る実証実験。客はAIの音声案内に従いマイクに話しかけたり、タッチパネルを操作したりして希望を伝える=JR大宮駅で2026年7月17日午後1時5分、池田一生撮影 企業や行政の窓口対応に、デジタルや人工知能(AI)の活用が進む。「人につながらない」「どこに相談すればよいか分からない」という戸惑いは、高齢者に限らない。人口減少による人手不足で、窓口のあり方も変わらざるを得ない。人に相談できる仕組みと、どう両立させていけばよいか。全国消費者団体連絡会事務局長の郷野智砂子さんに聞いた。【聞き手・西尾英之】効率化だけでは失うものがある 企業や行政の窓口は、自動応答システムやAIを活用したチャットなどで、時間や場所を問わず手続きや問い合わせができるようになった。利便性が向上したのは確かだ。デジタル化そのものを否定するつもりはない。一方で、消費者からの相談に携わる人たちからは近年、必要な時に相談できない人や、相談先が分からず困っている人がいるのではないかとの声も寄せられている。 消費者基本法第5条は、消費者からの苦情や問い合わせに適切に対応することを事業者の責務として定めている。困った時に相談し、説明を求められる環境が確保されることは消費者の権利だ。 私たちはこれまで、郵便窓口や「みどりの窓口」の縮小について、内閣府消費者委員会の公共料金等専門調査会などで、高齢者や窓口で相談したい人への配慮を求めてきた。デジタル化で便利になる人がいる一方で、その仕組みに十分対応できない人もいる。事業者には適切に対応することが求められており、そうした人たちを取り残すことになってはならない。 デジタル技術の活用で相談手段が広がること自体は望ましい。しかし、複雑な相談や緊急性の高い相談では、それだけでは解決できないことも多い。本当に困っている時に解決にたどり着けなければ、窓口として十分とは言えない。 AIによる応答には別の問題もある。示された回答が本当に正しいのか、利用者自身では判断できない場合がある。誤った案内を信じて行動すれば、問題がさらに大きくなる可能性もある。「解決した」と思っていても、実際には問題が解決していないこともある。 大切なのは、電話を残すか、AI化するかという二者択一ではない。… 関連記事 「高齢者はデジタル苦手」は思い込み それでも人に相談したい 「人手不足時代でも必要な場所には人を」 庄司昌彦・武蔵大教授のインタビューは17日16時公開予定です。Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事