「父はどうして精神を病んだのか」東北でも元兵士の家族が語る会

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父を理解してあげられなかった自責の念に駆られた経験を振り返り、涙ぐむ黒井秋夫さん=山形県鶴岡市で2026年10月18日午後2時51分、長南里香撮影 凄惨(せいさん)な体験から、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの「戦争トラウマ」に苦しんだ元兵士の家族らを支援する市民の会の活動が東北にも広がっている。心の傷は家族の人生に大きな影響を与えることもあるとされ、家族が定期的に体験を語り合える場をつくろうとしている。 「戦地から復員した父から暴力をふるわれ、酒を飲めば夫婦げんかばかりしていた。愛情を感じられずに育った」Advertisement 山形県鶴岡市で18日に開かれた発足集会には、同市や酒田市を中心に県内外から15人が参加し、それぞれが抱えてきた経験を語り合った。今後、定期的に同様の会合を開く予定だ。 会は「PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会」。鶴岡市出身の黒井秋夫さん(78)=東京都武蔵村山市=が2018年に設立した。自宅敷地内に建てた「交流館」で相談に応じ、大阪や愛知、福岡など6カ所で定例会も開いてきた。このたび、さらに活動エリアを広げることにした。米海兵隊員の姿が父に重なり 黒井さんが活動を始めたのは、15年に見たドキュメンタリー映像がきっかけだ。ベトナム戦争から帰還した後に精神を病んだ主人公の米海兵隊員が、無気力で頼りにならなかった父の姿と重なった。旧満州での経験から戦争トラウマの影響を受けていたことに、気付けなかった自責の念に駆られた。 鶴岡の発足集会では、黒井さん自身が感情を抑えきれず、声を詰まらせる場面も。ベトナム戦争での加害行為でPTSDを負った元米海兵隊員を描いた映画「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」を見た時を振り返り、「『あぎおや(秋夫や)、どうして俺が精神を病んだか、わかったか』と父から言われたような錯覚に陥った」と涙ぐんだ。孫世代の生き方にも連鎖参加者と語り合う黒井秋夫さん=山形県鶴岡市で2026年10月18日午後1時10分、長南里香撮影 会を定期的に開いていく意味について黒井さんは、元兵士の暴力の対象が妻や娘らに向かうケースが少なくなく、孫世代の生き方にも連鎖していると指摘する。「戦争によって心の傷を抱えている人はたくさん埋もれている。大変だったねと語れる場を作っていきたい」と呼びかけた。 24日には仙台市でも宮城の会が発足する予定。問い合わせは黒井さん(080・1121・3888)。【長南里香】Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事