駅構内でモバイルバッテリーが発火したと想定した鉄道会社の訓練で、けが人に見立てた人形を救出する消防隊員ら=千葉県松戸市で2025年12月19日、高橋晃一撮影 月曜日の朝、通勤時間帯の騒動だった。 6月15日午前8時過ぎ、東急東横線の武蔵小杉駅(川崎市)のホーム。電車が到着してドアが開き、車両からどっと人が降りてきた。 すると1人の乗客が、ホーム上で案内業務をしていた駅員に近づき、こう告げた。 「モバイルバッテリーが発煙しています」 駅員が現場に駆けつけると、車両内の通路にモバイルバッテリーがあり、乗務員が車両備え付けの消火器を吹きかけているところだった。駅員も「ファイアブランケット」(消火シート)をかぶせ、消火に加わった。 その後、別の駅員が水を入れたバケツを持ってきた。モバイルバッテリーはトングで拾い上げられ、バケツに沈められた。駅員「訓練重ね、動揺せず」 駅員は消防に119番通報していたものの、初期消火が成功し、消防は消火活動を不要と判断した。 車両の床の一部が焦げただけで、けが人はなかった。 警察などによると、席に座っていた男子大学生のモバイルバッテリーから発煙したという。 大学生がスマートフォンを手に持って充電していたところ、何かの拍子にバッテリーが電車内の通路に飛び出し、煙と火花が出た。 この影響で東横線は一時運休。全線での運転再開に35分かかり、約3万5000人に影響した。 消火活動にあたった駅員は取材に当時をこう振り返る。 「過去の事例を教訓に事前準備と訓練を重ねていたことで、現場で動揺することなく、冷静かつ迅速に対応することができました」 東急電鉄(東京都)では現在、電車内でのモバイルバッテリー使用自粛を呼びかけている。 東急電鉄は「モバイルバッテリーの危険性や適切な取り扱い方法について、お客さまに十分浸透していないことに課題を感じています」としている。ファイアブランケット、全編成に配備も 外出先でスマホなどを充電できるため、利用者が増えているモバイルバッテリー。その発火事故を巡り、鉄道各社が対策を講じている。だが取材を進めると、鉄道会社ならではの「限界」や「悩み」も浮かび上がってきた。…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事