2026年10月19日 6時00分有料記事小玉重隆 右腕を失った男性のために、輪島の職人たちが技をつないだ。下地、塗り、研ぎ、沈金。一人では作れない輪島塗の仕事を受け渡し、黒と赤の漆をまとった義手カバーを完成させた。被災で仕事場が離れても途切れなかった職人のつながりが、「魅(み)せる義手」に新しい姿を与えた。能登半島地震と火災で焼失した輪島朝市周辺。整地工事が進む現場で、谷脇さん(左)と大藤さんが腰を下ろした=2026年9月13日午後2時50分、石川県輪島市、小玉重隆撮影 「これを着けて、外を歩くのはきつかった」。岐阜県大垣市の谷脇誠さん(52)が示したのは、肌の色に似せた右腕の義手だった。2021年9月、コンクリート再生工場で、ベルトコンベヤーに腕を巻き込まれた。ドクターヘリで搬送され、手術後に目を覚ますと右腕はなかった。谷脇さんが初めて受け取った義手=谷脇誠さん提供 初めて渡された義手を見て、「何じゃこれ」と感じたという。「何じゃこれ」から始まった魅せる義手 義手は重さや見た目、片手でも生活できることなどを理由に使われなくなり、押し入れにしまわれることも多いと谷脇さんはいう。 ならば、隠すためのものではなく、着けたくなるものにできないか。好きな色や柄を選び、周囲から「格好いいね」と声をかけられる義手がいい。谷脇さんは、3Dプリンター製のカバーを使った「魅せる義手プロジェクト」の活動を続けてきた。代表的なカバーは、再就職した会社の色に合わせた鮮やかな青。外装を替えられる仕組みを生かし、服を選ぶように見た目を選べる未来を思い描いている。 輪島の職人との出会いは今年4月だった。日本の甲冑(かっちゅう)を思わせる義手を作りたいと考えていた。そんな時、3Dプリンター製の義足カバーに輪島の職人が漆を施した作品を知った。その製作を取りまとめたのが、輪島塗の製造販売を手がける塗師屋の大藤清さん(65)だった。 初めて輪島の漆器を手に取った時、谷脇さんが心を動かされたのは、光沢や模様の美しさだけではなかった。木地、下地、塗り、研ぎ、沈金。何人もの職人が仕事を受け渡して、一つの器を完成させる。輪島塗の器を見つめる谷脇誠さん(右)。漆の色合いや質感だけでなく、多くの職人が工程を受け渡しながら完成させる輪島塗の仕事に強くひかれた=2026年9月13日午後3時46分、石川県輪島市、小玉重隆撮影 「漆器に触れた瞬間、職人たちのつながりの中から生まれているものだと分かった」「輪島を全部、この一本に」 新たな義手は、4枚のカバーで構成される。黒と赤を基調にし、肩の部分には翼を広げた鳳凰(ほうおう)を施す。「輪島を全部、この一本に入れたかった」という谷脇さんが漆器を見ながら色や模様のイメージを伝え、細部は職人たちの感性に委ねた。完成した輪島塗の義手カバー=2026年10月13日午前11時35分、金沢市、小玉重隆撮影 製作において、樹脂製カバー…【今ならキャンペーン価格】有料記事が2カ月間 月額100円で読み放題!詳しくはこちら宅配紙面の購読者なら、ダブルコース半年割がお得です。詳しくはこちらこの記事を書いた人小玉重隆映像報道部専門・関心分野人と時代、資本主義関連トピック・ジャンルこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ10月19日 (月)横浜市長選、原沢氏が初当選自動車人材開拓 インドに活路「経営・管理」の入国 8割減10月18日 (日)トランプ政権 報道官を解任今年産 コメ余りの公算大日本のクルーズ市場 成長期へ10月17日 (土)王将社長射殺 被告に無罪判決のぞみ指定席 来年7月値上げ新分野の人間国宝 誕生へ10月16日 (金)農水相に武部新氏 簗氏の後任織田翔希投手 米球界に挑戦へ「異常分娩」表現見直しへトップニューストップページへ横浜市長選、参政推薦の福山氏が次点 3番手山中前市長は46万票減5:32生物多様性COP17開催へ 国際目標の進展不足、加速へ合意なるか4:002000万円赤字なのに「黒字決算」観光交流協会事務局長が諭旨退職5:30内閣支持横ばい50% 簗氏めぐる対応「評価せず」52% 朝日世論21:30【まとめてわかる】フランス各地で55万人デモ 市庁舎も大部分焼失16:29家族に恩返ししたいのに、バリバリ働けず涙 姜尚中さん「希望は…」11:00