帰れないひとびと ミャンマー国境から現場ルポ 小泉大士毎日新聞 2026/6/30 05:00(最終更新 6/30 05:00) 1844文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷タイ国境を流れる川で食器を洗うコーイーポウさん=ミャンマー・カイン州で2026年5月24日、久保玲撮影 食料が尽きれば、危険を承知で外へ出るしかない。 カイン(カレン)州の国境地帯にあるローコー避難民キャンプ。サンサンテーさん(30)は、夫と2人の息子と暮らす。「運が悪ければ死ぬかもしれない。でも、家族が食べていくためには、そうするしかありません」。仕事を探しに行く先は戦闘地域に近く、地雷や砲撃の危険があるという。消えぬ空爆の不安 タイとの国境を流れるモエイ川に近いこのキャンプでは、79世帯309人が暮らしていた。2021年12月、カイン州のレイケイコー周辺で戦闘が激しくなった後に設けられた。レイケイコーは、かつて日本の支援で紛争被害者向け住宅の整備が進められた村でもある。Advertisement ミャンマーでは2021年のクーデター後、国軍側と民主派の抵抗勢力、少数民族武装勢力などとの戦闘が広がり、内戦状態が続いています。戦闘や弾圧を逃れて国境を越えた人たちは、その後をどう生きているのか。タイ国境の町メソトとその周辺で、故郷を離れた後も続く人々の時間を追いました。連載「帰れないひとびと ミャンマー国境から」の8回目です。 サンサンテーさん一家も、レイケイコーから逃れてきた。最初はタイ側へ渡り、牛舎のような場所に身を寄せた。だが、周辺にも銃弾が飛ぶ危険があり、タイ当局からも「安全ではない」と移動を促された。 ここにいれば安全なのか。そう尋ねると、サンサンテーさんは「ほかの場所に比べれば少しは安全」と答えた。ただ、空爆への不安は消えない。父のコーチョーウーさん(52)も同じキャンプで暮らす。遠くで飛行機の音がすると、「あれは爆弾を落とす時の音だ」と話した。音で危険を測る暮らしが続いていた。足りない食料 最も苦しいのは、食料と仕事だ。以前はトウモロコシ畑の日雇いで、1日150バーツ(約750円)ほどを得られた。だが、情勢が悪化し、農園主も作付けをしなくなった。夫は山で食用の根茎のようなものを掘り、タイ側で売る。100バーツほどになることもあるが、安定した収入にはならない。草や葉で屋根をふいた小屋が建ち並ぶ避難民キャンプ=ミャンマー・カイン州で2026年5月24日、久保玲撮影 支援物資が届くことはあるが、配給は不安定だ。取材した5月下旬時点で、サンサンテーさんが最後に受け取ったのは4月初め。米、油、せっけん、シャンプーの小袋などだった。 一度、村へ戻ったこともある。夫が「仕事があるかもしれない」と考えたためだ。だが、再び戦闘が起き、もう一度逃げることになった。家は昨年の戦闘で焼けた。戻れても、住む場所はない。「50%は安全」 8歳の長男は学校に通っていない。サンサンテーさんは来年から通わせたいと願う。制服代や学用品代も必要になる。「夫には、もっと頑張って働いてと言っています」。食べるために危険な場所へ出るしかない暮らしの中でも、子どもには学ばせたい。タイ国境に架かる橋のたもとで過ごす子どもたち=ミャンマー・カイン州で2026年6月4日、久保玲撮影 同じ国境地帯には、戦闘や空爆を逃れてきた子どもたちが学ぶ学校もある。銃声や爆発音が聞こえると、子どもたちは川辺に下り、音が遠ざかるのを待つ。 生徒の一人は、川を渡れば「50%は安全」と話した。空爆や砲撃からはいったん離れられる。だが、タイ側では警察や兵士に見つかる不安がある。川の向こうにも、完全な安心はない。 国境の川は近い。だが、タイ側へ渡っても安住できるとは限らず、村へ戻っても家はない。逃げた人々の暮らしは、川の手前で宙づりのまま続いている。 ◇募金用QRコード ミャンマー東部では、さらに奥にも避難民の暮らしがあった。記者はタイ側から小型ボートでサルウィン川を約5時間さかのぼり、国軍の支配が及ばない地域に入った。食料不足、病気、学校の防空壕――。山あいのキャンプで見たのは、逃げた先にも続く戦争の現実だった。【ローコーで小泉大士】 ◆海外難民救援金募集 毎日新聞社と毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団は、紛争や災害、貧困などで苦しむ世界の人たちを支援する救援金を募集しています。 ◆連載「帰れないひとびと ミャンマー国境から」 ▽戦火逃れ川辺の教室へ ミャンマー国境 学び続ける子どもたち ▽川を越えても終わらぬ避難 国境の町メソト 続く仮の暮らし ▽逃れた先にも「医療の空白」 国境の診療所 命つなぐ橋に ▽「書類」があっても自由ではない 摘発におびえ、茶店を営む姉妹 ▽元入管職員が「書類」のない避難者に 仮の暮らしは4年に ▽「学校」になれない学校 国境の町 戦火逃れた子ども受け入れ ▽軍を抜け、徴兵を逃れ その先に日本 タイ国境で学ぶ若者たち ▽目の前で吹き飛んだ義弟、捕まれば「人間の盾」 苦難続く逃避行【次の記事】目の前で吹き飛んだ義弟、捕まれば「人間の盾」 苦難続く逃避行【前の記事】軍を抜け、徴兵を逃れ その先に日本 タイ国境で学ぶ若者たち関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>