キャンパる:きもの「女王」に新進の大学生 着付けコンテスト世界大会で選出

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「全日本きもの装いコンテスト世界大会」で「全日本きもの装いの女王」に選ばれ、マイクを手に受賞の喜びを語る増山佳音子さん(中央)=東京都台東区の浅草公会堂で、菅野潤撮影 着物文化の普及や日本の伝統文化の振興を目的とした「全日本きもの装いコンテスト世界大会」が5月31日、東京都台東区の浅草公会堂で開催され、最優秀の「全日本きもの装いの女王」に、大学2年生の増山佳音子(かのこ)さん(20)が選ばれた。着付けを5~6年続けて出場する参加者も少なくない中、増山さんは「習い始めて1年半」(本人談)で頂点に立った。快挙達成までの道筋と、着物文化への思いを聞いた。【早稲田大・菅野潤(キャンパる編集部)】着付け技術とスピーチで高評価 公益社団法人「全日本きものコンサルタント協会」が主催する全日本きもの装いコンテストは、鏡を見ずに着物を1人で着付け、その素早さや完成度、所作の美しさを競う大会だ。特に、身長に合わせて着丈を調整する「おはしょり」の美しさや、着姿が醸し出す雰囲気などが重視される。Advertisement 2026年度は「振袖の部」「留袖の部」「カジュアルの部」など6部門に、全国5地区で延べ約700人が参加した。世界大会には、全国の地区大会を勝ち抜いた出場者に加え、5カ国から6人の外国人も参加し、合計約120人が出場した。「全日本きもの装いコンテスト世界大会」のオープニングで舞台に立つ出場者たち=東京都台東区の浅草公会堂で菅野潤撮影 出場者は着付けの技術に加え、「きものを通した私の使命」をテーマとしたスピーチで優劣を競い合った。その結果、最優秀(グランプリ)である女王には「振袖の部」に出場した増山さんが選ばれた。スピード上達で注目 千葉市に住む増山さんは高校1年生の時に浴衣の着付けを習った経験があり、着物の帯を使い花の形に結ぶ「花結び」のモデルを務めるなど、日本の伝統文化である和装に関心を持っていた。そして同じく高1の頃に全日本きもの装いコンテストを観覧したことで、「いつか私も出場してみたい」と火が付いたという。 「振袖の部」への出場を目標に掲げ、近所の教室に週1回通い始めた。1回の稽古(けいこ)は約2時間半。着物の着付けは手順が多いため、次の稽古までに習った内容を忘れてしまうことがある。さらに、親子で教室に通う人が多い中、増山さんは1人で通っていたため、他の生徒のように自宅で母親に教わることもできなかった。そのため、次の稽古までに自宅でも復習することを欠かさなかったという。 また着付けだけでなく、所作や言葉遣い、スピーチ時の発声方法まで学んだという。そうした努力が実を結んで急速に上達し、昨年11月に水戸市で行われた関東大会で最優秀に輝き、一躍脚光を浴びた。「振袖の部」第1次審査の様子。主に着付けの技術や醸し出される情緒が審査された=東京都台東区の浅草公会堂で菅野潤撮影プレッシャーをはねのけて栄冠 世界大会当日、増山さんが特に意識したのは「笑顔」だった。増山さんは「審査員の方と目を合わせながら、笑顔で着付けをすることを心掛けました」と語る。技術だけでなく、表情から自信や落ち着きを伝えることを意識したという。 実際に壇上の増山さんは終始笑顔を絶やさず、落ち着いた所作で着付けを進めていた。その姿は会場の雰囲気に自然に溶け込みながらも、見る者の目を引いた。その朗らかな笑顔は、日ごろから先生や教室の仲間にも褒められていたそうだ。「振袖の部」第2次審査でスピーチする増山さん。1本の反物から端切れを出さずに仕立てられる着物の特性を取り上げ、SDGs(持続可能な開発目標)とのつながりについて語った=東京都台東区の浅草公会堂で菅野潤撮影 世界大会で女王に選ばれた瞬間の心境を尋ねると、「とにかくほっとしました」と振り返る。世界大会出場が決まってからは、周囲から大きな期待を寄せられていた。当日は家族や友人も会場に駆けつけており、「結果を出さなければ」というプレッシャーもあったという。増山さんは「うれしい気持ちもありましたが、それ以上に安心感の方が大きかったです」と話した。洋服にはない魅力を追求 今後は、振り袖以外の着付けや帯の変わり結びにも挑戦したいと増山さんは語る。将来的には、成人式の着付けのアドバイザーなどを務めることのできる全日本きものコンサルタント協会認定の「きものコンサルタント」の資格を取得し、着物の先生となることも目指している。「全日本きもの装いコンテスト世界大会」終了直後の増山さん。贈呈されたトロフィーを手に、ティアラを着けて笑顔を見せた=東京都台東区の浅草公会堂で菅野潤撮影 増山さんによると、着物には洋服にはない魅力があるという。着物は「親子3代着られる」と言われるように、世代を超えて受け継いでいくことのできる文化である。増山さん自身、祖母の着物を使って着付けの練習をすることもあるそうだ。このような伝統文化を「着る」行為は、受け継ぐ人にとって特別な意味を帯びてくる。増山さんは、着物を着ると無意識のうちに背筋が伸び、言葉遣いも丁寧になるという。 今年度は「全日本きもの装いの女王」として各種行事への参加を控えている増山さん。着付け技術をさらに磨きながら「日本の伝統文化の良さを、着物を通して伝えていきたいです」と今後への思いを語った。