インタビュー2026年7月1日 7時00分藤原伸雄富士フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」=2026年6月17日午後、東京都港区、藤原伸雄撮影 1986年に発売された富士フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」が、7月1日で40年を迎えた。一度は需要が落ち込みながら、それでも若い世代を中心に今も根強く使われ続けている。世界60カ国以上で販売され、累計出荷数は17億本超。ロングセラーの歩みを、富士フイルムで商品企画を担う勝山珠有(みゆ)さんに聞いた。――「写ルンです」が生まれた経緯は。 当時、写真は卒業式や旅行といったハレの日に撮る特別なもので、カメラは「一家に1台、お父さんが持つ存在」でした。写真をもっと身近に感じてほしいと考え、「いつでも、どこでも、誰でも、簡単に」をコンセプトに開発しました。 従来はカメラにフィルムを入れるのが当たり前でしたが、コストを抑える観点などから、「フィルムにレンズを付ける」という逆転の発想から生まれたのが「写ルンです」です。正しくは「使い捨てカメラ」ではなく「レンズ付きフィルム」です。――「誰でも、簡単に」を実現できた一番のポイントは。 フィルムを入れる作業は、慣れない人には難しいものです。最初からフィルムが入っていること。これが核心でした。商品名「西麻布」の案も――名前の由来は。 開発中、「本当にこれで写るのか?」と社員の一人が言ったところ、別の社員が「はい。写るんです」と答えた。それがそのまま商品名になりました。「ルン」をカタカナにしたのは、当時「ルンルン気分」という言葉がはやっていたからです。 他にも候補はありました。カメラとフィルムをかけた「カメルム」、パッと撮れるという意味の「ぱっとりくん」。本社のあった地名から「西麻布」という案も挙がっていました。――海外でも人気だとか。 海外では「クイックスナップ(QuickSnap)」の名前で売られています。中身は一緒です。現在は売上比率の約7割が海外で、欧米・中国を中心に人気が伸びています。今は、SNSでトレンドが国境を越えて一気に広がる時代。ザラッとした粒状感のある画質は、海外でも人気のようです。――ラインアップやデザインの変遷は。 これまで累計で110種類以上を展開してきました。機能ごとに製品化しており、1回で8枚連写する「Golf」、ワイド(パノラマ)、高感度のISO800、ISO1600、防水、ご当地デザインなど、一つひとつを製品にしてきました。1987年の「写ルンです フラッシュ」で、屋内でも撮れるようになりました。現在は1種類に絞り、デザインは「緑」にこだわっています。「写真文化を守る」、再ブレークへ――需要が落ち込んだ「危機の時代」はありましたか。 「写ルンです」は1997年が本数のピークです。デジタルカメラやカメラ付き携帯の登場で写真フィルムの需要自体が2000年ごろから下がり始めました。 「いつでもどこでも簡単に」という機能的価値で生まれた「写ルンです」が、その役割をデジタル機器に置き換えられていきました。価値の重心が機能から体験へと移ってきた、と捉えています。 2000年代初頭には、全社的に写真フィルムという本業が失われかねない危機があり、各事業部で事業の見直しを協議しました。それでも、2006年に社長が「写真文化を守る」と宣言し、販売をやめませんでした。お客様に届け続けたことが、いまの再評価につながっています。――デジタル全盛のいま、若者を中心に再ブレークしています。 現在の主なユーザー層は、20代までの若年層が中心です。スマホでは写真が「記録」になりがちですが、「写ルンです」で撮ると、後から振り返ったときに思い出がより特別になります。「顔が切れている」「目をつぶっている」といった想定外も、味として楽しんでいただけています。 元々持っている粒状感の画質、一見手間に思える作業をあえて行うこだわり、撮り切って現像し、1週間ほど待って27枚を一気に見るワクワク感。こうした一連の体験が、いま新たに発見されている魅力だと考えています。――今後の展開について。 「写ルンです」はこれまで40年続いてきました。これからも、より多くの人に楽しい撮影体験を感じてもらえるサービスや工夫を検討していきます。発売日にあたる7月1日には、撮影シーンが広がるような新商品の発表を予定しています。この記事の続きを読むなら今がお得。初回1カ月無料+Visaギフトカードが当たる▶今すぐ登録この記事を書いた人藤原伸雄映像報道部専門・関心分野国際情勢、貧困問題関連トピック・ジャンルこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ7月1日 (水)ブラジル戦から見えた差皇室典範改正案を閣議決定1ドル162円の深層6月30日 (火)愛子さま皇位継承「あり得ぬ」中国、対日禁輸を拡大ブタの腎臓をヒトに移植6月29日 (月)美輪明宏さん91歳で死去ひょうの被害が急増中ダニ予防、夏場までが肝心6月28日 (日)米軍、イランの拠点など攻撃列車とクマ衝突 過去最多夏の弁当、食中毒から守れトップニューストップページへ「男系男子」固執した政府・与党 皇室典範改正案を閣議決定21:52「出生地主義」を制限するトランプ氏の大統領令は無効 米最高裁判決23:50女子スポーツでトランスジェンダー選手の制限を容認 米最高裁が判決2:54「写ルンです」誕生40年 令和も愛される手のひらのタイムカプセル7:002期8年の森保監督、表裏一体だった功罪 選手選考や戦術の硬直化も6:00「キャプテン翼」作者が見たブラジル戦 「翼君がいれば勝ったかも」5:00