インタビュー2026年7月12日 6時00分有料記事聞き手・藤生京子空と海が織りなす色合いの微妙な移り変わりを、日々感じとっている。「遠回りでも、腰を落ち着けて考え、想像し、書いていきたい」と語る榎本空さん=2026年5月29日、沖縄県伊江村、藤生京子撮影 言葉は魔物だ。人の心に明かりをともす一方で、暴力や差別に容赦なく加担もする。文筆家・翻訳家の榎本空さんは、約20年ぶりに戻った故郷、沖縄の伊江島で自問を続けている。忘れられた死者や周縁に追いやられた人々の声と、どう向き合えるのか。未来をひらく言葉とは。 ――伊江島の地から、いまの日本や世界はどう見えますか。 「戦争が具体的になってきた実感があります。『台湾有事』を念頭に政府は昨年、石垣など先島諸島の住民避難計画を公表した。のどかに見える伊江島でも、西側地域を占める米軍基地から、夜遅くまで軍用機の訓練音が響いてきます。太平洋戦争中、この島では住民の3分の1以上が犠牲となりました。いまだ開いたままの傷痕を前に、戦争反対を叫ばなければならない。焦りと憤りを覚えます」 「ウクライナやガザやイランで進行中の暴力の連鎖は、この島の歴史と地続きに見えますね。『爆弾の下からの風景』の連なりを想像したいです」 ――為政者の言葉の感性を案じる文章を雑誌「群像」に寄せました。 「強い言葉、差別する言葉、他者を人間とみなさない言葉が語られ、拡散されていく怖さを感じます。イスラエルの国防相は2023年のガザ完全封鎖の際、イスラム組織ハマスを指し『ヒューマン・アニマルズ(動物のような人間)』との戦いだと発言した。忘れられません。また今春、米国のトランプ大統領はイラン人を『動物』と呼び、橋や発電所を爆破しても戦争犯罪でないと言いました。歴史上繰り返されてきた様々な暴力の根底には、言葉による命の序列化があります」こぼれ落ちる人々の記憶 「最近の国内でも『日本人と日本人以外』という線引きで外国人排斥の動きが増幅していますが、そんな言葉が暴力を生み増幅させることを危惧します」 ――沖縄戦と、米軍統治下の1950年代の土地闘争について調査をしています。 「両親は本土の出身です。89年に伊江島へ移住し、僕は1歳から15歳までここで過ごしました。家族がお世話になった阿波根昌鴻(あはごんしょうこう)さんは、土地を接収された農民たちと非暴力の抵抗運動を展開して『沖縄のガンジー』と呼ばれた人です。住民の多くはその後、基地を受け入れ基地の話題はタブーになった。この歴史が、高校入学で島を離れてからもずっと心にありました」 ――どんな調査を?…この記事の続きを読むなら今がお得。初回1カ月無料+Visaギフトカードが当たる▶今すぐ登録関連トピック・ジャンルこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ7月12日 (日)上地、4大大会とパラ制覇大谷、オールスター戦を辞退小笠原諸島の外来種調査へ7月11日 (土)皇室典範改正案 衆院を通過改正個人情報保護法が成立成田新滑走路 強制収用に同意7月10日 (金)長期金利、一時2.9%に上昇ガザ停戦後の死者1000人超ジャンプ発売前に付録転売7月9日 (木)大谷翔平 メジャー通算300号情報教育の授業、大幅拡充へノルディック複合、五輪除外トップニューストップページへ「副首都」指定に期待 大阪だけでなく福岡、名古屋、北海道も前向き6:00「息子はいつ見つかるの」異臭漂う土ぼこりの現場 ベネズエラ地震21:41リニア静岡工事、川勝前知事がメッセージ 「百害あって一利なし」18:53「命の序列」にあらがう 沖縄・伊江島から問う言葉の力と可能性6:00規制及ばぬ子どものスポーツ寮 暴力やパワハラ、食事はカップ麺も6:00赤いラケットは使わない 上地結衣、生涯ゴールデンスラムの裏に英断20:14