現場から2026年9月21日 6時00分有料記事永井啓子 日本海に迫る切り立った山々の間にある石川県輪島市上大沢町。能登半島地震と奥能登豪雨で二重被災し、住民がいなくなった集落に9月上旬、2年ぶりに稲を刈るコンバインの音が響いた。 作業するのは、中村和規夫さん(69)と徳光幸雄さん(66)。ここで生まれ育った2人は仮設住宅から集落に通い、稲を育ててきた。稲刈りをする中村和規夫さん=2026年9月6日、石川県輪島市、永井啓子撮影 互いを「とく」「わきお」と呼び合う間柄。「同じとこにおって、昔から助け合ってきた。そうしないと何事もやっていけない」。そう中村さんは言う。 作付けできたのは、集落の水田約6ヘクタールのうち応急復旧した約1ヘクタール。でこぼこで水が均一に行き渡らなかったのか、もみのつきが悪く、収量は例年の半分ほどだった。 それでも中村さんの表情は暗くない。「収穫までこぎつけた。来年はもっと良くなる。前向きに考えないと」 集落は、冬の強風から家を守る竹製の「間垣」に囲まれ、その町並みは、国の重要文化的景観に選ばれている。住民約20世帯40人は全員が顔見知りで、半農半漁の暮らしを送っていた。 だが、2024年元日の地震で住宅はすべて全半壊。停電と断水したうえ、集落につながる海側と山側の県道が寸断され、住民らは2週間孤立。ヘリコプターで避難した。 その春、2人は無人になった集落に通い、米づくりを再開した。だが、今度は9月21日に豪雨が襲う。川からあふれた濁流が水田をのみこんだ。地震と豪雨で大きな被害を受けた石川県輪島市上大沢町=2024年9月23日、徳光幸雄さん撮影 中村さんは、輪島市内の仮設住宅から歩いて山越えをし、様子を見に訪れた。田が流木で埋まり、収穫したもみを入れた袋のほとんどが水につかっているのを目の当たりにして、涙が止まらなかった。 徳光さんは、金沢市にあるみなし仮設住宅のアパートから駆けつけた。「先が見えかけていたのに。地震の被害より、よほどひどく感じた」と振り返る。再びの停電と断水、それでもあきらめない 集落では、川沿いにあった間垣のおよそ4割が流された。復旧した電気と水道も使えなくなり、集落に向かう2本の県道は再び壊れ、歩きでしか中に入れなくなった。 結局、住宅や納屋など約60棟のうち、8割近くが公費解体されることに。それでも、住民は再建をあきらめなかった。 24年10月中旬、輪島市内…【この記事の続きが読める】有料記事が読み放題のスタンダードコースが初回1カ月無料!詳しくはこちら宅配紙面の購読者なら、ダブルコース半年割がお得です。詳しくはこちら関連トピック・ジャンルこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ9月21日 (月)65歳以上が総人口の29.6%に長寿の親持つ人は長生き傾向スガキヤ、20年ぶり関東へ9月20日 (日)アジア大会が愛知で開幕今夏、史上5番目の暑さ巨大IT規制「改善進まず」9月19日 (土)日銀、政策金利1.25%に新米が去年の古米より安い中国の若者失業率が最悪水準9月18日 (金)第2次高市改造内閣が発足FRB、3年2カ月ぶり利上げ決定アンダーパス規制15カ所追加トップニューストップページへ台風25号で列車運休や施設休業が相次ぐ 東京ゲームショウも中止20:30二重被災で住民ゼロの間垣の里 「とく」と「わきお」が引っ張る復興6:00東国原氏を書類送検 元参院議員への名誉毀損容疑 宮崎県警21:06ドイツ極右AfD、北東部の州でも第1党へ メルツ首相「大惨事だ」5:49「お父さんの親族を知りませんか」 フィリピン残留日本人2世が訴え5:30交際1カ月、息子の彼女はとてもいい子で… 数日後に驚きの事実判明16:00