天空の世界遺産・高野山へ 南海の観光列車が演出「上質の旅」

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南海電鉄の観光列車「GRAN天空」のロビーラウンジから景色を楽しむ人たち=2026年6月22日、渡部直樹撮影写真一覧 グルメやお笑い、サブカルチャーの活気にあふれる大阪のミナミ。山上の世界遺産で祈りと静けさに包まれる和歌山県の高野山。この二つの世界を結ぶ南海電鉄の観光列車がある。 「憧れの列車旅」を提案すべく今年4月にデビューした「GRAN天空(てんくう)」だ。 ミナミのターミナル駅、難波(大阪市中央区)と高野山ケーブルに接続する極楽橋(和歌山県高野町)の63・6キロを約1時間半で結ぶ。Advertisement南海電鉄の観光列車「GRAN天空」=大阪市の難波駅で2026年6月22日、渡部直樹撮影写真一覧 6月22日の午後0時半ごろ、難波駅「0番のりば」にGRAN天空3号が入線していた。 深紅をまとう4両編成の車両は「上質な旅」のオーラを放ち、大人たちがスマホを向けて撮影している。 ボディー側面には鳥が羽を広げる意匠が金色であしらわれ、何とも高雅。車両は1990年製の2000系車両を大改造し、駆動モーターも更新した。 午後0時45分に発車。 この日は月曜だったが、全席完売だ。 梅雨空の下の街並みを眺めていると「ロビーラウンジ」が営業を始めたとアナウンスが流れた。お客さんが次々に腰を上げ、私も続く。 和歌山のソウルフード、玉林園(和歌山市)の抹茶入りソフトクリーム「グリーンソフト」を見つけ、反射的に買った。 高野山への日帰り旅行のため乗車した日本料理店経営、西川著人(あきと)さん(59)=大阪府池田市=は「ずっと乗りたくて、やっと予約が取れました。くつろげて、ええと思いますわ。自分の店でお客さんに勧めたいですね」と笑った。 車内は車両ごとに趣が異なる。 1号車は、通路を挟んで2席+1席のゆったりした「リラックスシート」が並ぶ。南海電鉄の観光列車「GRAN天空」2号車の座席=2026年6月22日、渡部直樹撮影写真一覧 私が座った2号車は、窓を向いた座席が特徴の「ワイドビューシート」だ。テーブルや座席に使われた紀州材がほんのり香る。 軽食や飲み物、オリジナルグッズを販売する「ロビーラウンジ」は3号車。パッセンジャーアテンダントの制服は南海沿線の大阪府岸和田市で育ったコシノジュンコさんがデザインした。高級ホテルのような車内空間を演出する。南海電鉄の観光列車「GRAN天空」のパッセンジャーアテンダント。コシノジュンコさんがデザインした制服を着用している=2026年6月22日、渡部直樹撮影写真一覧 4号車は4人掛けソファの「グランシート」「グランシートプラス」が並ぶ。大阪市西成区のレストラン「Genji」の元川篤シェフが監修する食事付きプランが人気だ。 モーニングやランチ、アフタヌーンティーと、走行時間帯によってメニューが変わり、大阪府南部や和歌山の肉、魚介、果物など地元食材を味わえる。 3号車には「大阪浪華錫器(なにわすずき)」の手洗い鉢、4号車には「大阪欄間」の建具といった沿線の伝統工芸品が組み込まれている。南海電鉄の観光列車「GRAN天空」4号車のグランシート=和歌山県高野町の極楽橋駅で2026年6月22日、渡部直樹撮影写真一覧 和歌山県に入り、作家、有吉佐和子の小説に名高い紀の川を渡ると、やがて日本屈指の山岳区間が始まる。勾配は最大50パーミル(水平に1000メートル進む間に50メートル上る)に達する。 モーター音が大きくなり、あえぐように進む。半径100メートルの急カーブも連続する。車窓右側の谷が深い。 対向列車とすれ違うため、紀伊細川(高野町)で小休止。標高363メートルの秘境駅だ。 上り坂は続き、終点の極楽橋は標高535メートル。乗客たちは満足げな表情で降り、高野山ケーブルの乗り場へ向かった。 標高867メートルまで引っ張り上げられた先には、弘法大師空海が開いた真言密教の聖地が現れる。【鶴谷真】