深層サイエンス:一時は頓挫も…4万個から探り当てた希望 血友病治療薬開発秘話

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血友病Aの治療薬「ヘムライブラ」を開発し、ラスカー賞を受賞した、(左から)中外製薬の北沢剛久・研究本部副本部長、服部有宏・元シニアフェロー、井川智之・研究本部長=2026年9月10日午前11時8分、菅沼舞撮影 米国版ノーベル賞とされる「ラスカー賞」(臨床研究部門)が、血友病の治療薬「ヘムライブラ」を開発した中外製薬(東京都)の研究者3人に贈られた。評価されたのは、抗体を「橋渡し」に使った独創性だ。「不足因子」代替目指す 「とっぴなアイデアと言われたが、可能性は低くないと思っていた」 9月、受賞決定を受けて開かれた記者会見で、受賞者の一人、元中外製薬シニアフェローの服部有宏(くにひろ)さんは足跡を振り返った。 血液が固まる際には、血小板が集まり「一次止血」が起きる。その後、血液中の凝固因子が次々と活性化されることで「フィブリン」が生成され、網のように損傷部分を塞ぐ「二次止血」が生じ血が止まる。 血友病患者では、二次止血に重要な凝固因子が生まれつき不足するなどし、血が止まりにくくなる。凝固因子を補充する治療法は十分ではなく、新薬が求められていた。 最も患者数が多い血友病Aでは、凝固因子のうち「第8因子」が不足。第9因子が第10因子を活性化させるため、第8因子は双方と結合して橋渡し役を担っている。二つの手を持つ抗体 服部さんたちのアイデアが独創的だったのは、不足する第8因子を補充するのではなく、別の物質で代替したことだ。着目したのが、「二重特異性(バイスペシフィック)抗体」だった。 抗体は、細菌などの異物を認識して結合するたんぱく質だ。「Y」の形をしており、通常、一つの抗体は一つの標的と結合する。 一方、バイスペシフィック抗体は、…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】あの時なぜ非難し合ったのか 物語と科学で明かすコロナ禍の正体関連記事