米パランティア・テクノロジーズのピーター・ティール会長(左)による表敬を受け、写真撮影に臨む高市早苗首相=首相官邸で2026年3月5日、平田明浩撮影 米国でテック業界の有力者たちがトランプ政権との結びつきを強めている。自由を重んじてきた起業家たちが、国家権力を必要とするのはなぜか。「アメリカの新右翼 トランプを生み出した思想家たち」(新潮選書)などの著書がある神戸大の井上弘貴教授(米政治思想史)に聞く。【聞き手・八田浩輔】 米テック業界では近年、創業者や経営トップが、自らの思想を積極的に社会に発信する傾向が強まっている。パランティア・テクノロジーズの共同創業者で、「テクノリバタリアン」とも称されるピーター・ティール氏もその一人だ。同社は軍事だけでなく幅広い分野で事業を展開しており、創業者の政治的信念と企業としての経営戦略は切り分けて考える必要がある。ただ、その境界が曖昧になっているのも事実だ。 ティール氏は、国家や国際的な制度による新しい技術開発への介入に批判的な立場を取ってきた。個人の権利と自由を何よりも重視するリバタリアンたちは、なぜ国家権力に接近するのか。「政府からの自由」求めていた人たちが… 1990年代のシリコンバレーには、政府に干渉されず自由に技術開発を進めたいという草の根的な精神があった。その後、米国や欧州でAI(人工知能)や巨大テック企業などへの規制が強まった。特にバイデン前政権期には、自由を理念として唱えるだけでは事業を守れないという認識が強まった。そこで、自らの利益や理念を代弁し、欧州の規制にも対抗してくれるトランプ政権のような権力が必要になった。政府からの自由を求めていた人々が、政府と一体化することで自由を守ろうとする。ここ10年ほどで起きた大きな転換だ。 政治への接近は…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】パランティアの「軍事企業」ではない一面 日本では被災地支援関連記事