好きでつながる絵の「連歌」 国境越えて紡いだ物語 真鍋誠さん

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カンボジアの少年が描いた絵。チョウが縄跳びをしているのを眺める恐竜の親子=真鍋真さん提供 11月3日朝刊「そこが聞きたい」欄に、真鍋真・国立科学博物館長のインタビュー記事を書いた。そこでは紹介し切れなかったエピソードを紹介したい。 <ある日、親子の恐竜が、チョウチョが縄跳びをしているのを見にいきました>。絵の具で描かれた緑色の恐竜の親子。その周りで色とりどりのチョウたちが縄跳びをしながら、舞っている――。Advertisement これは当時11歳のカンボジアの少年が描いた絵だ。カンボジアの少年の絵の「続き」を描いた、岩手県陸前高田市の男の子の絵。チョウに体を持ち上げてもらって、大縄跳びをする恐竜の子ども=真鍋真さん提供 真鍋さんは2025年1月、カンボジアを訪れた。同国シエムレアプ市には、真鍋さんの高校時代の恩師、笠原知子さんが08年に開いた子どもたちのための無料の美術スクールがある。真鍋さんはスクールや現地の小学校などで子どもたちに恐竜の話をした。すると後日、多くの子どもが恐竜の絵を描いてくれた。恐竜とチョウの絵は、その中の一枚だ。 ユニークな絵に感心した真鍋さんは翌月、岩手県陸前高田市の子どもたちにカンボジアの子たちの絵を見せ、前後につなげる絵やお話をかいてもらった。ある10歳の男の子はこんな物語を思いついた。<子どもの恐竜はチョウチョと大縄跳びをしたくなりました。けれども重すぎて飛ぶことができません。するとチョウチョたちが子どもの恐竜の体にたくさんとまり、なんと不思議なことに持ち上げてくれました> 少年の絵には、チョウたちと一緒に大縄跳びをする、うれしそうな恐竜の子どもが! その絵を見て、別の陸前高田の子どもが、こんな絵で物語を進めてくれたそうだ。<大縄跳びをしていた恐竜は、うっかりクシャミをしてしまいました。すると驚いたチョウチョは飛んでいってしまいました……>国立科学博物館の真鍋真館長=東京都台東区で2026年10月9日、藤井達也撮影 「まるで絵による“連歌”のようでしょう?」と見せてくれた子どもたちの絵に、私は胸がじんとした。絵の中では緑色の恐竜の子どもが笑っていたから。会ったこともない。言葉も通じない。それでも子どもたちは大好きな恐竜の絵を描き、一緒に物語を紡ぐことができるのだ。 好きでつながる、っていいな。【オピニオン編集部・小国綾子】Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。