AI新世紀:家族100%の父とAIで“再会”「似すぎなくてよかった」理由

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タブレット端末に表示した父の「遺影AI」を見つめる美佳さん(仮名)=埼玉県内で2026年9月11日午後4時44分、千脇康平撮影(画像の一部を加工しています) タブレット端末の画面に映る遺影の父は、穏やかな表情を浮かべていた。 「明るく、ひょうきんで子煩悩な人でした」 長女の美佳さん(47)=仮名、埼玉県=が画面にそっと触れると、遺影の一人語りが始まった。 <やっほー> <びっくりした? 今日は集まってくれてありがとね> 自分の亡き後に生まれた孫たちの名も口にした。 <はじめましてだね。じいじだよ> <主な内容> AI故人 分かれる賛否 「家族100%」だった父 「再会」した母の意外な反応 「やってよかった」が葛藤も十三回忌に父をAIクローンで再現 生前の画像や音声などのデータを生成人工知能(AI)に学習させて故人のAIクローンを生成し、動く遺影として再現する「遺影AI(現在は「遺影81(エーアイ)」)」という有料のサービスだ。AIを活用してシステム開発などを担う「Beyond AI」(東京都)が手がけている。 自動対話型ではなく、あらかじめ作った「台本」通りに話す。利用者はクローン生成費(5万円・初回のみ)と動画制作費(1分間1万9800円など)を支払う。BGMやテロップなどのオプションを希望する場合は別途、料金がかかる仕組みだ。 父の十三回忌にあたる今年、美佳さんは遺影AIを利用した。言葉の抑揚には少し不自然さはあるが、表情の滑らかな動きやまばたきのタイミングなど、一見すると実際に話しているかのようだ。◇「故人AI」サービスに否定的意見も 生成AIが普及した2023年以降、AIを使って故人の姿や声などを再現する技術が国内外で広がった。日本では主に「AI故人」と呼ばれ、Beyond AIのようにサービスの一つに掲げる企業も少しずつ出てくるようになった。 喪失感を和らげるグリーフケアの効果や、家族らに自分のAI故人で思いを残すという「終活」の新しい形としても期待する声はある。 一方、AI故人を巡っては「不謹慎」「死者の尊厳を冒とくしている」といった否定的な見方も根強い。人を欺いたり、影響力のある故人を「生きている」ことにして大衆を扇動したりといった目的などで悪用されるリスクもある。 死者の権利を守る明確なルールがないまま社会実装が進む中、企業や利用者の高い倫理観に委ねられている現状がある。「家族100%」だった父 美佳さんは関東地方の緑豊かな田舎町で生まれ育った。公務員の父と専業主婦の母、兄と妹の5人家族だった。父は家事を積極的にこなし、子どもが友人を連れて来れば、たこ焼きを作って振る舞った。「家族100%の人だった」と美佳さんは懐かしむ。 父は14年5月、68歳の時に病気で他界した。美佳さんの悲しみは深かったが、葬儀の翌日から出張で長期間、日本を離れざるを得なかった。父の遺髪と写真を携えて渡航し、宿泊先に置いて毎日手を合わせた。あの頃は、とにかく人前で泣かないようにと必死だった。「いなくなっちゃう」涙した母 母の喪失感はひときわ大きかった。四十九日の納骨に合わせて一時帰国すると、骨つぼを前に「お父さんがいなくなっちゃ… AIを使って故人の姿や声などを再現する技術が国内外で広がっています。AI新世紀では、実際に再現した遺族の思いや課題を探ります オットGPTで見つけた亡夫の宝物=6日6時公開予定 死者の尊厳とは?AI故人が投げかける問い=7日6時公開予定 AI故人が新たな形の終活に=8日6時公開予定Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】暗躍する「指揮者」と3種類の攻撃 不正アクセスの裏にお手軽AI関連記事【最新記事】