欧州の熱波による死者数と温暖化の影響度合い 今年の夏、欧州を襲った熱波で5万人以上が死亡し、その3分の2は地球温暖化が起きていなければ命を落とさずに済むはずだったとの分析を、英国などの国際研究チームが23日発表した。被害の大きかった2003年や22年を上回る最悪の事態という。 チームは「犠牲者や彼らを悼む家族の思いを受け止める時だ」と強調。11月の国連気候変動枠組み条約第31回締約国会議(COP31)でも対策強化を求める声が一層強まりそうだ。Advertisement 欧州連合(EU)27カ国と英国▽スイス▽ノルウェー――の計30カ国計854都市を対象に、00~26年の熱中症患者や夏(6~8月)の平均気温の推移などを調べた。 これらの都市の今年の夏の平均気温は1991~20年の平均より2・4度高く、一部では12度以上上回る日も発生していた。酷暑のため計5万391人が死亡し、うち85歳以上が2万2502人と半分近くを占めた。ただし、20~44歳も833人が亡くなっており、高齢者だけの問題ではないと指摘している。 チームは、個々の気象現象に温暖化がどの程度影響したかを定量的に評価する「イベント・アトリビューション」という手法を用いて、人類が排出した温室効果ガスがどれほど死者数を押し上げたかを算出した。その結果、温暖化が死亡に影響したとみなせる熱中症患者の割合は各国で軒並み50%を超え、全体では65%に相当する3万2619人に達したと推計した。 暑さによる死者数に対する温暖化の影響度合いは、00年は40%を下回っていたが、23年以降は4年連続で60%を上回り、年々強まっているという。 ロンドン大衛生熱帯医学大学院のピエール・マセロ博士(疫学)は「気候変動は年齢や地域を問わず全ての人にかかわる。都市部での対応は遅れており、緑地の拡大や医療サービスの適切な提供などの対策を進める必要がある」としている。【田中泰義】Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事【最新記事】