渋滞する米ニューヨークの国連本部ビル周辺=2026年9月、平野啓一郎さん撮影 ニューヨークの国連本部のビルは、ファースト・アヴェニューの42丁目にあり、総会が開催される時期には、周囲の道路が封鎖され、交通は大混乱となる。首からタグを下げた国連職員や各国からの参加者らが、歩いて警備の警察が群れをなすビルに向かう姿も見受けられる。 米ニューヨークで暮らす小説家、平野啓一郎さんが毎月、現地での体験や思索をつづる「リアルトークinNY」 今月は、先の米中会談における日本のメディアの報道について考えました。 (毎日新聞では10月27日朝刊に掲載) 総会開催中の最大の注目は米中関係で、中間選挙を控え、トランプ大統領が、習近平国家主席とどう向き合ったのかは、連日詳細に報じられた。両国の歩み寄りは演出されたものの、具体的な成果は乏しいというのが、大方の評価だったが、私は日本の新聞報道に目を通して非常に驚いた。というのも、「アメリカと中国とは、第二次世界大戦での同盟国であり、共に戦って勝利を収めた」(ホワイトハウス)という両首脳の演説が、中国共産党の歴史観だとして、強い警戒感と共に否定的に報じられていたからである。歴史観の「塗り替え」とは何か 「『抗日戦争』で米国と協力関係にあったのは国民党の蔣介石率いる中華民国だ。共産党はそこに加わってはいたが、北京で政権を打ち立てたのは戦後の1949年だった。それにもかかわらず、『大戦時に米中が協力した』というのは、共産党指導部が好む歴史観だ」(「朝日新聞」9月26日朝刊) 「そもそも米国と中国が同盟関係にあったのは現在の中華人民共和国でなく、蔣介石が指導者だった中華民国の時代だ。(中略)米中がともに戦ったというトランプ氏の発言は「抗日」を巡る中国のナラティブ(言説)を補強する材料に利用される懸念がある」(「日本…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】平野啓一郎さんが考えた 「よく歩く町」ニューヨークの交通事情関連記事