デフ日本代表の強化試合でボールを運ぶ岸野楓選手(中央)=東京都大田区で2026年9月20日©長田耕治@JDRFU 「声を使いたくない」と心を閉ざした少年は、ラグビーを通して初めて居場所を見つけた。大人になって世界に挑む今、ある異名で呼ばれている。 前日からの土砂降りが霧雨に変わった9月中旬の土曜日、東京都内の多摩川河川敷で、水たまりをものともせずに楕円(だえん)球を追う集団がいた。 「パス」「逆サイド!」「後ろ、来てる!」。あたりに響いたのは、片方のチームの声だけ。対戦する選手は、身ぶり手ぶりで合図を送り合っていた。 聴覚障害のある選手がプレーする「デフラグビー」。この秋、世界大会が初めて日本で開催される。国内の競技人口は極めて少なく、1チームしかない。そのため、そのチームに所属する選手らでつくる日本代表は、耳が聞こえるチームと対戦して練習を積んでいる。「リーチ」が小学校でぶつかった壁 聞こえない日本代表を束ねるのが、キャプテンでフォワードの岸野楓選手(28)だ。きつい走り込みや厳しいウエートトレーニングに率先して取り組み、チームメートやスタッフと積極的にコミュニケーションを取る。気さくで、仲間に慕われる岸野選手を、柴谷晋ヘッドコーチ(51)はラグビー日本代表をけん引した元主将になぞらえてこう呼ぶ。「デフラグビーのリーチ・マイケル」 岐阜で育った子ども時代は、今の姿からは想像できない日々を送っていた。…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事